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【電子版・新連載】マーケティングの出番ですか?(1)組織を変革する

(2017/10/7 07:00)

今回から、「マーティングの出番ですか?」と題し、主にモノづくり企業で製品開発、生産に従事される技術者を対象に、仕事に役立ち、かつ面白いマーケティング関連情報、知識、事例、最新トピックなどを幅広くご紹介します。記事自体は日刊工業新聞社が発行する月刊誌『新製品情報』に過去掲載されたものです。(毎週土曜日掲載)

  ◇  ◇

大手企業を顧客に持ち、安定的な取引関係を有している企業にとって、長年、マーケティングは必ずしも重要なテーマではありませんでした。むしろ、画期的な製品を創ることに日夜取り組む技術者にとって、製品力でなく、誇大な宣伝文句で顧客を翻弄するイメージのあるマーケティングは、なんとなく胡散臭く捉えられていたのではないでしょうか?

時代は変わり、技術進化による製品寿命の短命化、市場のグローバル化に象徴されるように、企業間取引も盤石で無くなり、競合他社との差別化や自社製品の育成等、好むと好まざるとにかかわらず、マーケティングが重要性を増す経営環境となっています。

このような現状認識の基に、「マーティングの出番ですか?」は、大手自動車メーカー、食品、コンピュータ、広告代理店、調査会社、はたまた大学等で、マーケティングに悪戦苦闘した研究開発者、プロジェクトマネージャー、コンサルタント、教授陣で組織する「マーケタープロダクション」主要メンバーが、現場の生々しい実態も交え交替で執筆します。

製品開発とマーケティングでは、仕事に必要な知識、情報、スキルは全く異なります。しかし、基本となる仕事に対する姿勢、アプローチは共通している点も多々あります。

●姿勢:積極性、好奇心、向上心、意欲、実行力

●アプローチ:計画性、最新(技術/市場)動向把握、創造性、仮説設定、実験(プロトタイピング)

アプローチは、学習し実務経験を積み重ねることで体得し、一人前の仕事になります。実際の所、人材育成、業務の生産性向上、品質管理に際して、何を、誰から学ぶかに始まり、作業のマニュアル化、業務管理等による組織の強化が、業種や企業の風土と相まって様々に取り組まれています。

対して、仕事の姿勢についてはどうでしょう?従来は、会社の成長と呼応する形で昇給や昇進を目標にすることが仕事の姿勢を強化してきましたが、長引く不況の停滞感は、これらの目標を色褪せさせてしまいました。

ビジネスの伸び悩み、魅力的な製品不在の原因が、アプローチの劣化や社員のモチベーションの問題であるとすれば、組織の変革が必要です。変革を必要とする組織は、言い方を変えれば、働き甲斐の無い、不満を抱える職場環境と言えます。

貴方の所属する組織、また貴方自身の現状について、姿勢とアプローチの観点で評価すると変革を要する度合はどの程度でしょうか?

●姿勢:消極的、無関心、安定志向、怠惰、他力本願

●アプローチ:無計画、情報・知識不足、模倣、実験・テスト不足

開発組織の変革が必要なのか、それともマーケティング業務の刷新が必要なのか?

今日、多くの企業は、両方の変革を必要としているのではないでしょうか?そして、その困難性の認識が、強いリーダー待望論に帰着していると思われます。

問題と原因が錯綜、根深い場合、その解決は甚だ困難を伴いますが、ここでそれらを解決できるリーダーの要件を定義してみます。

・ 製品の顧客、市場について精通している

・ 開発とマーケティング業務に必要な基本知識、情報を蓄積している

・ 開発とマーケティング組織の社内風土、特徴を把握している

・ 人の行動原理を理解している

・ 新たな目標を設定できる

・ 状況を分析し、必要な修正、改善、革新を行える(指示できる)

待望論は、すなわち、社内でこれら要件を満たす人材の不足、不在を表しています。

ところで、筆者は現在、某社情報システム部門の業務改善活動をお手伝いしています。当部門は、以下の問題、課題を抱えています。

・ ユーザ部門から言われたことだけ行っている

・ 業務への取り組みが、組織的でなく個人商店化している

・ 業務効率が考えられていない

・ 組織としてPDCAのサイクルが機能していない

・ 人材のキャリアアッププランが無い

これらの問題、課題の解決には、部門の目的、役割の再定義、アプローチの再構築、そして、部員の意識改革が必要であることから、当部門のマネージャーは、アウトソーサー(筆者)の客観的立場、並びに経験、ノウハウを加えた二人三脚体制で業務改善活動を推進しています。

また、筆者はチームの一員として、某社新製品開発プロジェクトのお手伝いもしています。当プロジェクトは、某社が長年蓄積している基幹製品の高度な技術を応用して、全く新しいユニークな製品・サービスを開発し、新市場の創出を目指しており、以下の課題を有しています。

・ 製品サービスの潜在性(本質的価値)評価

・ 潜在顧客の製品要件(仕様)の定義

・ 水平/垂直型、国内/外等 各潜在市場規模の算定

・ 事業戦略(販売、リソース、体制、期間、予算等、諸目標 計画)立案

・ 製品・サービスの市場参入、マーケティング戦略(価格、チャネル、販促、製品)立案

これらの課題の遂行には、技術にとらわれない顧客目線、市場環境の洞察、創発的な取組みによる斬新なアイディアが求められ、当プロジェクトのマネージャーは、外部リソースによる体制強化で、新市場課発のブレークスルーに臨んでいます。組織に変革を要する状況は明らかにピンチですが、問題、課題を解決し、目標を達成することができれば、逞しい姿勢と強固なアプローチが築ける、またとない好機となります。

最後に某大学のマーケティングゼミ、ベンチャービジネス講座で講義した際に、学生から要望の多かったテーマ「ソーシャルイノベーション」、「価値共創」、「ビジネスモデル」、「最新マーケティング事情」に関連して、作成した図をご紹介します。

右の図で位置づけられる貴社のポジション、そして市場環境の変化はどうなっているでしょうか?

(『新製品情報』2014年1月号掲載)

【著者紹介】

株式会社テンプロテクシー代表取締役 武道誠芳(マネジメントコンサルタント)

所属:テンプロクシー にてWeb関連サービス、マーケティン グサービス、ロボットビジネス等を展開

生年:1960年8月

出身:富山県富山市

学歴:横浜市立大学商学部経済学科(1983年卒)

経歴:外資系コンピュータメーカー、システムコンサルティング会社、サイパン合弁事業への参画後、1996年11月 起業・独立

(2017/10/7 07:00)

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