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[ 科学技術・大学 ]
(2017/10/18 05:00)
米欧の研究グループが「中性子星」同士の合体による重力波を観測したことを受け、これを手がかりに光などの観測に成功した日本の国立天文台などの研究者が17日、東京・本郷の東京大学で会見した。国立天文台ハワイ観測所の吉田道利所長は「重力波研究の第一歩」と評価しつつ、「日本の重力波望遠鏡『KAGRA』(かぐら)が稼働すれば重力波源天体の位置精度が1ケタ向上する。本当の意味での重力波天文学の始まりだ」と述べた。
重力波は時空(時間と空間)の歪(ゆが)みが伝わる現象。地球から1・3億光年離れた中性子星同士の合体による重力波は、8月に米国と欧州の重力波望遠鏡であるLIGO(ライゴ)とVirgo(バーゴ)がそれぞれ検出した。
この知らせを受け、日本などの研究グループは重力波の発生源に望遠鏡などを向け、中性士星が合体する際に光る現象「キロノバ」をとらえ、その明るさの変化を調べることに成功した。
この現象から、中性子星が合体する際に金や希土類(レアアース)など今まで生成過程が謎だった宇宙での重金属合成が行われている可能性を示した。
日本の研究グループは、国立天文台のすばる望遠鏡が持つ「ハイパー主焦点カメラ」(HSC)を中心に、名古屋大学所有の南アフリカの「IRSF望遠鏡」などの観測網で重力波源を追跡観測した。理論計算には国立天文台のスーパーコンピューター「アテルイ」を利用した。
今回の観測には日本など70以上の天文台が参加している。重力波とほぼ同時に発せられた光などの電磁波を観測する「マルチメッセンジャー天文学」の進展が期待できる。
(2017/10/18 05:00)