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[ エレクトロニクス ]
(2017/10/19 05:00)
NECは金属原子の移動によって動作する新原理の素子「原子スイッチ」を搭載したプログラミングすることができるLSI(FPGA)の実用化に乗り出す。宇宙や自動車、IoT(モノのインターネット)関連機器向けを想定し、原子スイッチFPGAを300ミリメートルウエハー換算で月間5000枚分生産できる体制を整備。2018年にサンプル出荷を始める。
原子レベルで動く極小の原子スイッチFPGAは、不揮発性メモリー(SRAM)を使った既存のFPGAに比べ、チップサイズが3分の1以下で電力効率は10倍。電源を切ってもデータが消えず、待機時の電力が不要。金属配線であることから、放射線に耐性を持つ。
多品種製品への適用に向くFPGAは、IoTや人工知能(AI)関連機器向けに需要が拡大している。NECは国内の半導体受託製業者(ファウンドリー)の300ミリメートルウエハー製造ラインに、40ナノメートル(ナノは10億分の1)プロセスの原子スイッチ専用製造装置を導入。さまざまな業種向けにサンプルを出荷し、将来は宇宙、IoT関連機器や自動車、ロボット向けなどに売り込む。
NECは18年度に宇宙航空研究開発機構(JAXA)がイプシロンロケットで打ち上げる「革新的衛星技術実証1号機」に、原子スイッチFPGAを載せて性能を検証する。放射線の影響を受けにくい原子スイッチFPGAを使うことで、誤動作の発生率が100分の1以下になるという。
(2017/10/19 05:00)