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[ 建設・住宅・生活 ]
(2017/11/11 05:00)
太平洋セメントは10日、セメント価格の引き上げを発表した。具体的な時期や値上げ幅は12月中に明らかにする。セメントの国内需要は東京五輪・パラリンピックの関連工事などで増加基調にある一方、燃料である石炭の価格や物流費の上昇が収益を圧迫している。値上げを打ち出すのは2011年以来6年ぶり。年明け以降に生コンクリート業者など需要家との交渉に入る。
10日に都内で開いた会見で福田修二社長が表明した。石炭価格は前年に比べて1トン当たり約20ドル上昇。17年4―9月期連結決算では営業利益ベースで20億円の減益要因となった。18年も10ドル近く上昇する可能性が高いという。
石炭価格だけでなく、主要な製造設備であるキルン(回転窯)内部に貼り付ける耐火れんがの価格も中国での鉱山における採掘停止の影響を受けて急騰。さらに物流費や労務費の上昇もコストの増加要因となっている。
セメント協会によると17年度上期(4―9月)のセメント国内販売量は前年同期比3・3%増の2071万4000トンと上半期としては4年ぶりに増加した。同社は11年から1トン当たり1000円の値上げを進めてきたが、十分に浸透していなかった。直近では生コンクリート業界でも値上げを打ち出しており、値上げが受け入れられやすい環境が整ったと判断した。福田社長は「東京五輪・パラリンピックを控え、当社はセメントを安定供給する責務を負っている」とし、需要家に理解を求める考えだ。
セメント価格を巡っては、すでに住友大阪セメントの関根福一社長が値上げを表明。「(需要が拡大している)今がラストチャンス」として、全国の販売店に対して説明に回っているという。三菱マテリアルも「値上げを検討せざるを得ない時期」(同社)との認識を示す。業界最大手の太平洋セメントが値上げを打ち出したことで、同業他社にも同様の動きが波及していく可能性が高い。
(2017/11/11 05:00)