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[ 建設・住宅・生活 ]
(2018/1/15 05:00)
竹中工務店は建物づくりで人工知能(AI)の活用に乗り出す。AIベンチャーのHEROZ(東京都港区、林隆弘最高経営責任者〈CEO〉)と共同で、構造設計業務を支援するAIシステムを開発する。さらに施工計画や生産管理、ビル管理にまでAI活用を広げる。期待する効果の一つは業務効率化だが、AIが既存と全く異なる提案を示すことに期待する。HEROZとタッグを組み、建築生産システムの改革につなげる考え。(編集委員・村山茂樹)
【将棋に通じる】
竹中は構造設計業務を支援するAIシステム開発で、既存の構造設計システムに蓄積した数百の建物データを活用する。そのデータをHEROZのAI「HEROZ Kishin」が解析、モデル化し、2018年までにプロトタイプをつくる。20年までに実用レベルに進化させる。
HEROZは、AIを活用したインターネットサービスの企画・開発・運営を手がける。プロの将棋棋士とコンピューターの将棋ソフトウエアが対戦する将棋電王戦で、優勝したソフト「Ponanza(ポナンザ)」の開発メンバーを擁する。
竹中の梅國章技術本部副本部長は「将棋を通じて開発したAIの技術力が高く、AI開発をコア事業として取り組んでいる」とHEROZを評価。将棋で局面を決める次の一手が、建物の設計を決める最後の一手と通じる点にも共感したと言う。
【設計者にも刺激】
一方、HEROZの高橋知裕最高執行責任者(COO)は「AIの可能性を他産業にも展開したかった。住空間やまちづくりは社会的に重要」と竹中と組んだ理由を話す。
竹中がAI活用で、まず構造設計に着目したのは「過去のデータが蓄積されており、シミュレーションできる」(梅國氏)からだ。構造設計は意匠設計などと比べ、寸法や強度などのルールを明確化しやすく、AIが示した設計案を検証しやすい。数百の構造設計データも「部材で考えればものすごい量」(同)と、AIが深層学習する上で十分なデータがあるとみる。
システムを実用化できれば、AIが短時間で複数の設計案を示し、比較検討できる。「過去の実績にない案が出てもいい」(同)と革新的な提案を期待。さらに構造設計のルーティン的な作業を70%削減できるとみる。設計者がAIにより既存と異なる発想を得ることで「設計者の能力も高まる」(同)。
AIの活用は構造設計のほか施工計画や生産管理、ビル管理にまで広げる考え。梅國氏は「建設生産システムへの関わり方を変えていきたい」とする。高橋氏は「革命を起こして建設産業を再定義したい」と意気込む。
(2018/1/15 05:00)
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