[ オピニオン ]

社説/きょう通常国会召集 働き方改革・生産性革命 車の両輪に

(2018/1/22 05:00)

安倍晋三首相が「働き方改革国会」と形容する通常国会が22日に召集される。長時間労働の是正などを通じ、誰もが活躍できる「一億総活躍社会」の実現と少子化対策を急ぐ構えだ。ただ、これだけで持続的成長は期待できない。企業の生産性向上に資する関連法案も丁寧な議論を重ね、日本経済の新たな成長軌道を模索してもらいたい。

働き方改革関連法はこれまで半ば青天井だった残業時間に上限規制を設けるほか、勤務時間でなく仕事の成果で賃金を支払う脱時間給制度の導入などを目指す。野党は高収入の専門職を労働規制から適用除外する「高度プロフェッショナル制度」を“残業代ゼロ法案”と批判し、攻勢を強める構えをみせる。

だが今通常国会で野党の統一会派の結成は実現せず、足並みがそろっていない。与党は「安倍1強」におごらず、丁寧かつ建設的な議論を積み上げることが求められる。

また関連法案は、残業削減で経営合理化を進める「働かせ改革」との批判も一部で聞かれる。それだけに労働環境の改善を主眼とした名実ともに「働き方改革」となる施策に仕上げてもらいたい。

他方、少子化対策を推し進めるには、働き方改革などの「人づくり革命」と「生産性革命」を車の両輪とする必要がある。IoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)、ロボット、ビッグデータなどを駆使した革新的な技術を醸成することで、日本企業の生産性を押し上げることが人口減対策と持続的成長には欠かせない。

通常国会に提出する2018年度予算案で第4次産業革命や中小企業の設備投資を促す施策に予算措置したほか、自動走行や小型無人機の実証実験を円滑に行えるサンドボックス制度創設に必要な法案も提出される予定だ。中でも同制度は現行の規制を一時凍結し、特区内で自由度の高い実験を行える。

政府は18―20年度を生産性革命に向けた集中投資期間と位置付けている。初年度に力強い一歩を踏み出せる法整備が進むことを期待したい。

(2018/1/22 05:00)

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