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[ 科学技術・大学 ]
(2018/1/23 05:00)
【名古屋】中京大学工学部の野浪亨教授らは、蛍光灯程度の弱い紫外線や光照射後の暗所でも光触媒性能がある材料を開発した。球状多孔質アパタイト「マリモアパタイト」に酸化チタンを固定した複合材料。酸化チタンから飛び出た電子をマリモアパタイトが保持することで光触媒性能が保てるとみられる。アセトアルデヒドやアンモニアなどの吸着分解性能も併せ持つ材料として実用化するため、共同研究するメーカーを募る。
同材料はマリモアパタイトと酸化チタンの混合溶液を乾燥させた。弱い紫外線で性能を持つのは可視光材料などもあるが、暗所でも性能を発揮するのは珍しい。
酸化チタンの種類により光触媒性能などが異なるため、効果が高い酸化チタンを選別した。マリモアパタイトの合成技術については、疑似体液を用いた生体模倣製造法での合成を確立している。
光触媒性能を示すメチレンブルー水溶液の色素分解による濃度減少率は、紫外線強度が蛍光灯並みの数マイクロワット(マイクロは100万分の1)でも約10%で、酸化チタンのみの場合より高かった。光照射後に暗所に120時間置いても、光触媒性能を示した。
通常、酸化チタンの孔と再結合する電子が、マリモアパタイトと結合していると推定される。アセトアルデヒド吸着・分解能はアパタイトのみやチタンのみより高かった。野浪教授らはこの他に、酸化チタンの代わりに酸化亜鉛をマリモアパタイトに固定させ、化粧品原料などへの応用を図る研究も進めている。
(2018/1/23 05:00)