[ オピニオン ]

社説/新生・富士ゼロックス−日本のイノベーションが生んだ買収

(2018/2/1 05:00)

日本企業の持つ優れたイノベーションの力を、海を越えた経営統合でも発揮してほしい。

富士フイルムホールディングス(HD)が、事務機大手の米ゼロックスを傘下に収めることで合意した。両社の合弁である富士ゼロックスとゼロックス本体を経営統合し、富士フイルムHDの子会社にする。日本企業が米国の伝統的大企業を買収するのは極めてまれなケースだ。

複写機の代名詞とさえされるゼロックスだが、ペーパーレス化の流れに押されている。近年の事務機メーカーは複写機の不振をパソコン用のプリンターなどで補う戦略をとってきた。ゼロックスはこの戦略で後れをとっており、社名を富士ゼロックスに改めて立て直しを図る。

現在の富士ゼロックスは、第二次大戦後、まだ日本が資本の自由化をしていなかった時代に日本企業との合弁で参入した外資系企業の一つだ。同様な事例には日本NCRや横河ヒューレット・パッカード、ソニー・テクトロニクスなどがある。

これらの外資合弁は、その後の国際化の進展の中で提携を解消し、100%出資の日本法人になったケースが多い。ただ富士ゼロックスは合弁を維持したまま高速複写機などに強みを発揮し、さらに新たな文書管理ソリューションの提供などで存在感を示してきた。この実績が日本側主導の統合に役立った。

親会社となる富士フイルムHDが、日本企業の中でも傑出したイノベーション力を持っていることも特筆される。本業である写真フィルムの急激な市場縮小を、化学合成などの技術力を応用した液晶ディスプレー材料や医療機器・医薬分野への進出で克服した。同業最大手であった米イーストマン・コダックが経営破綻したことに比べても、富士フイルムHDの経営陣の能力は高く評価される。

ゼロックス買収後の富士フイルムHDは、事務機事業の割合が6割を超す。再び本業を転換することになる。ただ旧来の紙ベースの事業に軸足を置くのでは、いずれ行き詰まる。富士フイルムHDらしい、大胆なイノベーションを期待したい。

(2018/2/1 05:00)

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