[ 科学技術・大学 ]

「やりがいある」廃炉従事者の大半に“使命感”-東電がアンケート

(2018/3/9 05:00)

東日本大震災の発生から11日で7年。東京電力福島第一原子力発電所では今なお廃炉に多くの作業員が従事しており、一人ひとりのモチベーションを支えていく環境づくりが課題の一つだ。ところが、東電が毎年実施する廃炉従事者アンケートを見ると、福島第一で働くことに大半の従事者はやりがいを感じているが、その理由の多くが自己使命感によるもので、「まわりから感謝される」を挙げた人は3・7%に留まる。社会からの評価が届いていない。(小寺貴之)

【労働環境が改善】このアンケートは労働環境の改善点を洗い出すため2011年10月に始めており、14年から「やりがい」の設問を新たに設けた。継続的に調査することで改善点を探し、改善策の効果を確かめている。

「やりがい」の項目そのものは年々向上している。14年はやりがいを感じる従事者は50・5%だったが、17年にはは76・4%と順調に増えてきた。

これは食堂やコンビニ、シャワー、医療施設などが整備され労働環境が整ってきたことも背景にある。17年調査では福島第一構内の働きやすさについて78・3%、福島第一構外の働きやすさについて95・3%が肯定的に回答している。ただ、やりがいを感じる理由について尋ねると「福島復興のため」が40・1%、「廃炉のため」が30・7%と、その多くが自己使命感によるものだった。「まわりから感謝される」を挙げた人は3・7%にとどまる。周囲からの感謝は16年調査では4・4%。15年と14年の調査では、さらに少なかった。

【ベテラン育成】労働環境の改善が進んだとはいえ、福島第一はまだ過酷な現場だ。従事者が自分だけでモチベーションを維持し続けるのは容易ではない。社会からの理解やねぎらいなど、周囲からの支えが必要だ。これは給与の多寡だけでは解決しない問題でもある。

東電福島第一廃炉推進カンパニーの増田尚宏プレジデントは、「東電だけでは廃炉は到底なし得ない」と説明する。実際に現場で働くのはゼネコンや重工、協力会社に所属する人たちだ。廃炉には長い時間がかかる。30―40年先を見据え、現場を熟知したベテランを長期的な視点で育てていく必要がある。

東電や廃炉の計画推進には社会から厳しい目が向いており、現場への関心が人々から薄れている可能性もある。アンケートには「日本の力を全世界に見せましょう。がんばっぺ日本」というコメントも書かれていた。現場で働く一人ひとりのモチベーションを支えていく環境づくりが求められている。

(2018/3/9 05:00)

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