[ オピニオン ]
(2018/3/13 05:00)
自分の健康管理を医療機関に委ねるのではなく、自ら主体的に取り組むことの重要性が今後ますます認識されるようになるだろう。
国の医療費は2015年度に41兆5000億円を上回った。団塊世代が後期高齢者となる25年に向け、この傾向は加速しよう。三菱総合研究所の資料によれば25年の医療費は約54兆円。ピークを迎える60年には約67兆円に達すると見込まれる。
医療のあり方の見直しは、まったなしだ。制度を持続可能にするためには、医療の受益と負担の関係を見直さざるを得ない。医療の質を維持・向上しながらコストを引き下げるのは容易ではなかろう。
こうした環境では、受益者である国民が自ら医療に参加する視点が重要になる。特にがん、心臓病、脳卒中という「三大疾病」は生活習慣に深く関わっている。予防や早期発見、治療の各段階で、患者による積極的な取り組みは欠かせない。
それを可能にするのが情報通信技術の進化だ。ウエアラブル機器を使った健康管理、スマートフォンによる遠隔診療や服薬支援、病気予防サービス、病気や治療方法の共有化など、健康・医療情報を電子的に取得する技術が、使いやすくなってきた。人工知能(AI)の進歩により、専門的な知見が低コストで得られるようになる。
ただ現状は、国民の健康への意識が高いとは言いがたい。厚生労働省の「健康意識に関する調査」によると、全年齢の半数近くが「健康のために何もしていない」と回答している。
適度な運動や健康的な食生活、十分な睡眠も諸外国と比べて低水準だという。関心の低さが、健康を維持しようという行動を遠ざけている。その結果、発症後に高額な医療サービスの利用を招く悪循環に陥る。
「人生100年時代」が近づく現代では国民の大多数はいずれ高齢者となり、何らかの生活習慣病を抱えて生活することになるだろう。どんなに公的な医療制度が整備されようとも、自ら努力して健康年齢を引き上げることに勝る幸せはない。
(2018/3/13 05:00)
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