【電子版】石川県のIoT関連ビジネスに活気、地元関係団体も後押し

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  IoT化を進めている小林製作所の工場内

ビジネス成長に欠かせないツールとしてIoT（モノのインターネット）化が重みを増している。これを追い風に、IoT導入を支援する企業が一段と活発になってきた。北陸新幹線で北陸以外の経済圏とのアクセスが良くなり、経済がますます勢いづく石川県では、地元産業のIoT化を手助けしようと、さまざまな企業・団体が動きを加速している。

食品工場にも採用

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  小林製作所の「Sopak-C」

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  金沢エンジニアリングシステムの「KES IOT Logic」

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  別川製作所の「イー・マイスター」

板金加工を手がける小林製作所（白山市）は、ネットワークカメラを活用した履歴管理（トレーサビリティー）システム「Sopak-C」を拡販している。作業現場を記録し続け、過去に遡って現場の様子を確認する仕組みだ。撮影をコマ撮りにすることデータを軽くし、管理しやすくした。

同社開発室の小松重義氏によると、「自社の板金加工の工程改善や技能伝承のために開発したが、地元のがんもどきの製造工場やお菓子工場など、食品工場にも採用された」。このシステムの汎用性が高いと見て、これをビジネス化したという。

異なるネットワーク同士をつなげるIoTゲートウェイ機器「KES IOT Logic」をアピールするのは、金沢エンジニアリングシステム（金沢市）だ。作業にかかる時間を正確に把握することができる機能を搭載し、「市場に出回っている主要なプログラマブルロジックコントローラー（PLC）に追加可能だ」（同社新規事業推進部の隅田成敬課長）。

別川製作所（白山市）は無線を使って設備をネットワーク化し、施設内の情報を正確に集めるシステム「イー・マイスター」を提案する。いずれの製品・システムも、先に導入した機能やシステムに追加しやすいところが共通しており、導入後の効果が比較しやすいのが売りだ。

成功に導くヒントを提供

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  中村留精密工業の中村匠吾取締役

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  今回が2回目の「ものづくり企業向けICT・IoTビジネスソリューションフェア2018」

石川県ものづくり産業等IoT化推進研究会も、県内企業のIoT化を支援している。展示商談会を開くなどし、これらを通じてIoT化につながる製品・システムを紹介するだけでなく、IoT化に取り組む上でのヒントを得る機会を提供、その効果を最大限に受け取れるよう工夫している。

実際、やみくもにIoT化を目指しても十分な効果は望めない。IoTを使って改善すべき課題、課題解決に向けた段取りを常に明確にしておくことが成否を握るカギだ。中村留精密工業（白山市）の中村匠吾取締役によると、同社の場合はIoT化を進める中、改善を繰り返し、治具を見直して初めて生産性が向上したという。

石川県ものづくり産業等IoT化推進研究会が2月に開いた展示商談会「ものづくり企業向けICT・IoTビジネスソリューションフェア2018」には450人が訪れた。同会の事務局を務める石川県情報システム工業会の横川隆之専務理事は「具体的な商談もあったようで、次も出展したいとの要望も多かった」と話す。

来場者から「周囲に比べてIoT化への取り組む時期が遅いかも知れないが、まず情報収集」（県内の機械メーカー担当者）との声も聞かれる中、同会の関係者は次回開催にも意欲満々だ。