[ 政治・経済 ]
(2018/4/14 07:00)
【ワシントン時事】ロシアによる米大統領選介入疑惑の捜査でトランプ大統領の不評を買い、昨年5月に解任されたコミー前連邦捜査局(FBI)長官が、来週発売の回想録で、トランプ氏とその周囲をマフィアになぞらえ「ボスが完全に支配し、道徳性や真実より上位に置かれた忠誠という規範のために、あらゆるうそをつく」と痛烈に批判していることが分かった。米紙ワシントン・ポスト(電子版)が12日、抜粋を掲載した。
この中でコミー氏は、トランプ氏が2013年にモスクワの高級ホテルで、売春婦とらんちき騒ぎを繰り広げたという疑惑をひどく気にしていたと回想。「妻(メラニア夫人)にとって苦痛だ」などと訴え、繰り返し「無実」を証明するよう迫られたと明かした。
ロシア疑惑で捜査対象だったフリン元大統領補佐官(国家安全保障担当)について、トランプ氏から「ほっておいてくれるよう望む」と言われた経緯も詳述。「トランプ氏の言葉を遮り、(捜査中止の)要請は間違っていると説明しなかったこと」を悔やんだ。
大統領選直前に捜査を公表し、批判を浴びた民主党候補クリントン元国務長官のメール問題では、選挙後にオバマ前大統領から「私はあなたの誠実さと能力を買ってFBI長官に選んだ。その考えは変わっていない」と伝えられたエピソードを紹介。涙が出そうになったと振り返った。
コミー氏は昨年5月9日、訪問先のロサンゼルスで、テレビ報道を通じ自身の解任を知った。回想録では、報道直後に電話をかけてきたケリー大統領首席補佐官(当時は国土安全保障長官)が、解任決定に強い不満を示し「こんなやり方で人を扱う恥知らずな連中と、一緒に働きたくない」と辞意を漏らしたことを述懐。「今の大統領の周囲に筋の通った人間がいることが、国にとって必要だ」と説き、思いとどまらせたと明らかにした。
(2018/4/14 07:00)