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(2018/4/17 05:00)
インタビュー/立命館大学衣笠総合研究機構准教授・開沼博氏「まだ続く…産業への打撃」
東日本大震災から7年が経過し、福島の復興は着実に進んでいる。一方で、これから取り組むべき課題も多い。福島大学客員研究員、多核種除去設備等処理水の取り扱いに関する小委員会委員などのさまざまな立場で活躍している、立命館大学衣笠総合研究機構准教授の開沼博氏が語る福島の今後とは。
◇
【問題は解消に向かう】
―福島の現状をどう見ますか。
「帰還困難区域を除けば、放射線の問題は一定のめどがついた。だが、産業自体への打撃はまだ続いている。そもそも日本全体にある1次産業の脆弱(ぜいじゃく)さ、不安定さとも結びついていると思う」
「例えば放射線の問題だ。コメの全量全袋検査では基準値を超えるものが出ない状態が数年以上続いている。野菜や肉、魚介類についても同様に、基準値を超えるような作物を取る方が難しいぐらい。大きなトレンドで見れば問題は解消に向かっている」
【風評被害と流通の固定化】
「それでも価格はまだ回復していない。要因は二つあり、一つはいわゆる風評被害の問題。消費者意識として、原発事故の直後に福島県産品を避けようという感覚が強くあった。そして、それが時間の経過の中で流通構造の固定化につながっている。これが二つ目の要因。福島県産品は『品質は良いけど安く買える』と位置付けられてしまった」
―固定化したものが戻るのは難しい?
「消費者意識から流通構造に問題の主軸が移り、一度そういう構造ができてしまうと覆しがたいというのが風評の問題。ただ、そもそも福島の農業、さらには日本の農業が順風満帆だったのかというとそんなことはなく、むしろ弱まりつつあった。生産者は高齢化し、輸入品との競合も増えている。加えて国内では6次産業化ブームで競争は激しくなっていた。そんな中、震災で大きな打撃を受け、産業自体が弱ってしまい、離農者も増えた」
【東京の需要にタイミング良く応える】
「福島の1次産業は、東京という大市場の需要にタイミング良く応えることに強みの中心があり、ブランドで勝負し価格を底上げすることへの意識が薄かったため、より苦戦を強いられている。震災によって、弱い部分がさらに露呈している」
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(2018/4/17 05:00)
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