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社説/気候変動適応法案 改めて「緩和」の取り組み強化を

(2018/5/8 05:00)

温室効果ガス排出を抑制する「緩和」だけでなく、気候変動への「適応」を図る「気候変動適応法案」の国会審議が始まった。世界の平均気温は100年で0・72度C、日本は同1・19度C以上の割合で上昇している。これに伴い、熱帯夜や猛暑日が増え、冬日は少なくなった。この影響が農林漁業や自然生態系に出始めているためだ。

環境省、気象庁など5省庁がまとめた「日本気候変動とその影響」によると、コメの収量減や品質低下、果実の着色不良や日焼果の発生などがみられ、栽培適地が移動。雑木林への竹林の侵入なども予測されるとしている。さらに海水温の上昇は藻場の衰退・消失、サンマの南下が遅れ水揚げされるサンマの体重が減少、風況の変化を招き渡り鳥の経路が変化するといったことがすでに起こり、またこれから起こると予測している。

自然界の変化だけでなく、私たちの生活にも影響を及ぼす。河川の流況が変わるとか、流域の複合的な水害・土砂被害、台風による高潮などが予測される。また既に近年、多くの死亡者を出している熱中症による搬送者は特に東日本で20世紀終盤に比べ2030年以降、2倍に増えると予測。当然、こうした状況は11年のタイの洪水が日系企業に被害をもたらしたように産業・経済にもさまざまな影響が及ぶと考えるべきだ。

同法案は国が気候変動適応計画を策定、5年ごとに評価し、評価結果に基づき計画を改定、地方公共団体の役割の明確化などを盛り込んだ。また国立環境研究所を適応の情報拠点と位置付けた。

パリ協定で平均気温上昇を産業革命前の2度未満に抑えることになった。だが適用法案はすでに起こった、あるいはこれから起こる気候変動影響への適応が狙い。適応は重要だが、気候変動を抑える最大の手段は温室効果ガスの排出削減だ。これを実現することが最大の「適応」だ。もちろん適応法案ができても安心することはないだろうが、企業も生活者も「緩和」に取り組むことの重要性をあらためて肝に銘じたい。

(2018/5/8 05:00)

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