[ オピニオン ]
(2018/5/9 05:00)
建設業は官民連携し、他産業と比べて遅れている労働環境を改善し、手を緩めることなく働き方改革を進めてもらいたい。
建設業は3K(きつい、危険、汚い)のイメージが定着し、若者に人気のない職業の一つとされる。だが日常的に使われている建築物や構造物は建設業抜きでは語れない。台風や地震など災害発生後に、復旧作業にあたるのも各地域の建設会社だ。建設業は重要な役割を果たしている割には評価されていない。
その要因として、長時間労働や賃金水準の低さがあるだろう。建設業は全産業平均との比較で、年間300時間以上多くの長時間労働を行っている。週休2日は実現されておらず、4週4休(4週間で4日の休日)の割合が最も多い。賃金水準は技能労働者の場合、製造業と比べて約5%低い実態がある。
国土交通省はこうした状況を改善し、働き方改革を一層進めるため、「建設業働き方改革加速化プログラム」を策定した。長時間労働の是正、給与・社会保険、生産性向上―の3分野で取り組む。長時間労働の是正では、公共工事で週休2日の工事を大幅に増やす。週休2日で生じる労務費などの必要経費を見直す。適正な工期設定も発注者の特性を踏まえて進める。
給与・社会保険では、建設技能者の資格や就業履歴などを業界横断的に登録・蓄積する「建設キャリアアップシステム」を今秋に稼働させる。建設技能者の技能・経験を客観的に評価し、それにふさわしい処遇の実現を目指す。さらに社会保険に未加入の建設会社には、建設業の許可・更新を認めない仕組みを構築する方針だ。
生産性向上では、情報通信技術(ICT)の活用に合わせた積算基準を設定する。書類の簡素化を実現する基準改定にも取り組む。
こうした取り組み過程では、痛みや混乱が伴うだろう。最初から100点を狙うのではなく、不都合な部分は修正していけばいい。問題を先送りすると、一層の混乱が生じる。市場環境が良好な今こそ、建設業界は覚悟を決めやるしかない。
(2018/5/9 05:00)
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