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[ 科学技術・大学 ]
(2018/9/13 18:30)
国立科学博物館などが日本人の祖先による3万年前の航海の再現を目指すプロジェクトで、製作中の丸木舟を使い、来年夏に台湾から沖縄・与那国島までかいでこぐ航海が実現へ大きく進んだ。一般からの募金が目標の3000万円を達成した。
募金は研究費で賄えない安全対策の用船、撮影記録費などを工面するためで、14日まで続ける。代表で同博物館の海部陽介さんは「本番の実験航海で、祖先たちがどうやって大航海を成功させたかという大きな謎に迫りたい」と話している。
沖縄には人類が3万年前までに大陸と地続きだった台湾から渡り定住したが、遺跡に当時の舟が残らず、どんな舟で航海したか分かっていない。
プロジェクトは2016年以降、浮きやすい草を太く束ねた舟や竹のいかだを作り、かいでこぐ実験航海を行った。その結果、これらの舟は安定しているが遅く、台湾と与那国島の間を流れる黒潮を越えるのは難しいと分かった。
今回は石器に木の柄を付けたおので杉の大木を切り倒し、中をくりぬいて丸木舟を製作。転覆しやすいが速いと期待される。
帆を使わないのは、旧石器時代より後の縄文時代でさえ帆を使った証拠がないため。プロジェクトが縄文人の上腕骨を分析したところ、沿岸部の集団の上腕骨は内陸集団より太かった。舟をこいで漁や海上輸送を行ったため太くなったと考えられる。(時事)
募金のホームページは 国立科学博物館「3万年前の航海 徹底再現プロジェクト」
(2018/9/13 18:30)