[ オピニオン ]

社説/2025年万博、開催決定 大阪・関西の底力が試される

(2018/11/27 05:00)

2025年国際博覧会(万博)の大阪・関西開催が決まった。6月以降、自然災害が続いた関西に明るい話題をもたらしてくれた。政府と大阪府・市、関西財界、さらに各国で支持要請の活動に関わった関係者に敬意を表したい。万博は20年東京五輪・パラリンピック後の大規模な国際イベント。大阪・関西万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。誰もが輝ける社会をどう提案できるか。大阪・関西の底力が試される。

日本を会場にした大規模な万博の開催は、05年の「愛・地球博」(愛知県)以来20年ぶり、日本初開催だった1970年の「大阪万博」(大阪府)以来55年ぶりとなる。大阪開催は2度目だ。政府の試算によると、25年万博の日本経済への効果は約2兆円。これとは別に、会場となる大阪市此花区の埋め立て地「夢洲(ゆめしま)」への交通インフラ整備、万博を見込んだ再開発の加速などの波及効果が見込まれる。

関西の訪日外国人旅行者数は東京と肩を並べ、万博開催決定を契機にさらなる「インバウンド消費」の増加も期待される。

関西はかつて、大手電機メーカーの経営不振などを背景にサプライチェーンと地域経済が疲弊し、新たな柱となる産業分野を育成する途上にある。パナソニックや日本電産、京セラといった世界企業に続く、ベンチャーの創出も課題だ。

25年万博は、日本が誇る最先端の技術やサービスを提案する場であると同時に、ベンチャーの新事業を試して成長を後押しする商機でもある。中小企業のモノづくり、試作支援など、関西が得意とする技術やサービスを示したい。

国連が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」への貢献も欠かせない。SDGsは世界に共通する課題の解決に向けた17の目標。関西は全国に先駆け、SDGsを進める産学官組織を17年12月に設立。大企業にとどまらず中堅・中小も含め、事業を進める視点からSDGsを捉え「日本型SDGs」の確立を目指している。万博は取り組みの成果を世界に報告する、絶好の機会にもなりそうだ。

(2018/11/27 05:00)

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