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十大新製品賞、増田賞に塩野義製薬 本賞にアマダなど10社

(2019/1/4 05:00)

日刊工業新聞社は2018年「十大新製品賞」の受賞19製品を決定した。最上位の「増田賞」には塩野義製薬の「抗インフルエンザウイルス薬 ゾフルーザ錠」を、「十大新製品賞本賞」には、アマダホールディングスやNEC、安川電機など10社10件を選定した。

十大新製品賞は、応募企業がその年に開発あるいは実用化した新製品の中から、モノづくりの発展や日本の国際競争力の強化に役立つ製品を日刊工業新聞社が選定し、表彰する制度。今回が61回目で、応募総数は63社・63件だった。

1回の服用で効果が期待できるインフルエンザ治療薬のほか、量子現象に着想を得た次世代コンピューター、生体認証システム、モノづくりの進化に貢献する各種工作機械やロボットなどが選ばれた。贈賞式は24日11時から東京・大手町の経団連ホールで行われ、受賞各社には表彰状と盾、副賞(賞金)が贈られる。

《増田賞》

【塩野義製薬/世界初、経口服用1回で治療完了 抗インフルエンザウイルス薬 ゾフルーザ錠】

経口服用1回で治療が完了する世界初のインフルエンザ治療薬。「タミフル」や「リレンザ」といった既存薬と異なる作用を持ち、ウイルスの増殖サイクルの中心を止める。血中濃度半減期も既存薬に比べて長い。これによって、服用1回での治療を実現した。

臨床試験の結果、A型やB型のインフルエンザウイルスのほか、タミフルに耐性を持つウイルスや鳥インフルエンザウイルス(H7N9型とH5N1型)にも抗ウイルス効果が認められた。販売においてはスイス・ロシュグループと提携。2018年10月にロシュの米子会社が、米国食品医薬品局(FDA)から販売承認を取得した。国内はもとより世界各国で販売する。

《本賞》

【アマダホールディングス・アマダ/ファイバーレーザマシン ENSIS―3015AJ(9kW)】

金属板(板金)を切断するレーザー加工機。アマダホールディングスが約10年前にいち早く製品化し、今や世界のスタンダードとなった高速・省エネルギー型のファイバーレーザーを採用した。レーザー出力は9キロワットで同社最大となる。

ファイバーレーザーは薄板加工に向いているとされている。厚板では加工速度と品質確保が課題だった。同社は加工開始時に必要な「ピアス加工」の際に高密度にレーザー光を絞り、その後の切断時には最適な密度と切断幅に自在に変更するレーザービーム制御技術を開発。これまでの課題を解消した。加工速度は従来に比べて、軟鋼で2倍以上、ステンレスで6倍以上に引き上げた。面粗度は軟鋼で54%改善した。

【NEC/NECの生体認証ソリューション群「Bio―IDiom」】

顔、虹彩、指紋・掌紋、指静脈、声、耳音響の6つの生体認証技術を組み合わせたマルチモーダル生体認証のソリューション。例えば顔認証と虹彩認証を組み合わせれば、顔の大部分が隠れていても、目さえ出ていれば認証できる、昼夜を問わず認証できるなど、個々の生体認証では困難だった高いセキュリティー性と利便性の両立を実現する。

顔認証と指紋認証は米国政府機関のベンチマークテストで、世界ナンバー1の評価を複数回受けた。虹彩認証でも同様のテストで世界ナンバー1の照合精度を達成した。用途は犯罪捜査、出入国管理、市中での映像監視などに加え、他人への成りすまし防止や決済時の詐欺検知、遊園地での顔認証など幅広い。

【オークマ/次世代ロボットシステム ARMROID】

旋盤内蔵型ロボットシステム。工作機械の隣にロボットを設置するというこれまでの常識を覆す製品だ。機械の隣にロボット設置するとスペースを取るうえ、システムインテグレーター(SI)の導入支援が必要。中小製造業には手が届きづらい。

ロボットは自社開発のため、旋盤との動作連携がスムーズ。旋盤と同じく、数値制御(NC)装置で操作できる。加工室に設置した本製品が、旋盤前方のストッカーから加工対象物(ワーク)をつかんで加工位置にセットする。加工中に発生する切り粉を除去しつつ、加工後にストッカーに戻す。一連の動作をSIの支援なしで実現できる。夜間は量産品を自動加工し、働き方改革にも貢献する。

【川崎重工業/純国産ガスタービン「M5A」】

出力5000キロワット級として世界最高の発電効率32.6%を達成した純国産ガスタービン。本製品を用いたコージェネレーション(熱電併給)システム「PUC50D」の総合効率はクラス最高の84.5%で、エネルギーコストの低減と二酸化炭素(CO2)排出量の削減を両立した。

最新の燃料技術を導入し、窒素酸化物(NOx)排出量は52.5ppm以下と環境性能に優れる。中間点検を簡易点検(ボアスコープ点検)とすることで年間稼働時間の向上にも寄与する。

世界累計1万1000台以上の納入実績を持つ発電用ガスタービンの開発経験をベースにしている。2018年7月に初号機をイビデン大垣事業場(岐阜県大垣市)に納め、順調に運転を継続中。

【ソディック/リニアモータ駆動 高速・超精密 形彫り放電加工機 AP30L】

精密な金型や部品の製造に使う形彫り放電加工機の最上位機。本体の機械構造に加え、頭脳に当たる数値制御(NC)電源装置、次世代パワー半導体による放電回路、人工知能(AI)などを自社開発し、搭載した。

これら電源や回路・制御などで微細な仕上げ加工から荒加工までの全ての領域で高速化を実現。仕上げの加工時間を従来比20%減に、荒加工を同50%減にそれぞれ向上した。精度はピッチ加工精度プラスマイナス2マイクロメートル(マイクロは100万分の1)、深さ加工精度は同1マイクロメートルの高さを達成した。主軸は自社製炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を採用して従来比30%軽量化し、たわみ量も低減した。

【日立製作所/「Hitachi Virtual Storage Platform ファミリー」ミッドレンジモデル】

ソリッド・ステート・ドライブ(SSD)を記憶装置とした次世代ストレージ製品。アルゴリズムを使ってドライブに書き込まれる容量を大幅に削減する圧縮技術を採用し、SSDの処理を高速化した。同じ性能のハードディスク駆動装置(HDD)に比べて導入費用を半分以下に抑えた。

導入時の設定も短くでき、従来製品に対して最大10倍の費用対効果を期待できるという。SSDは処理速度の速さから需要は大きいものの、HDDに対して価格が高いのが課題だった。

処理速度や容量別に10種類そろえた。人工知能(AI)技術の活用では大量のデータ処理が求められており、企業やデータセンター向けでHDDの代替としての需要を見込む。

【ファナック/安定した超精密加工を実現する超精密加工機 FANUC ROBONANO α―NMiA】

スマートフォン(スマホ)のカメラレンズの金型や高級時計の部品など精密な製品を加工する工作機械。コンピューター数値制御(CNC)装置やサーボモーターなどの重要部分に、自社の最上位モデルを搭載した。高い信頼性と性能、生産性を実現した。

加工面の粗度、品位が向上する。CNC装置とサーボ技術によって0.1ナノメートル(ナノは10億分の1)で指令、制御する。これまで欠かせなかった加工後の仕上げなしで鏡面にできる。

軸受には非接触の油静圧式を採用。従来機に比べ剛性が高い上、面粗度に影響する摩擦のない滑らかな駆動ができる。大型化する車向け金型を意識し、A4サイズの加工対象物(ワーク)に対応する。

【富士通/クラウドサービス「FUJITSU Quantum―inspired Computing Digital Annealer」】

量子現象に着想を得たデジタル回路で、現在の汎用コンピューターでは解くことが難しい「組み合わせ最適化問題」を高速で解く新技術。自社のデジタル技術の優位性を生かし、超高速の量子計算をデジタル回路で再現した。実用性の面で課題の多い量子コンピューターに対し、早期実用化を可能にした。

専用プロセッサーを実装したオンプレミス(自社運用)サーバーに加え、クラウドサービスでの提供も始めた。国内を皮切りに欧米など海外展開も本格化する。用途は物流の効率化や災害時の復旧計画、創薬開発、投資ポートフォリオの最適化など。複雑な要因が絡む社会政策やビジネス課題の迅速かつ最適な意思決定を支援する。

【安川電機/生産現場のデータマネージメントシステム「YASKAWA Cockpit」】

安川電機は「新たな産業自動化革命の実現」を掲げる。実現に向けて「アイキューブメカトロニクス」と名付けたソリューションコンセプトを提唱、生産現場の自動化促進に取り組んでいる。本製品はこの中核ツール。設備や装置とつなぎ、必要なデータを収集・蓄積・一元管理する。

本製品はメーカーを問わずセンサーなどあらゆる機器データを管理し、稼働状況を把握する。また上位システムと連携することで、稼働データから発生する問題の特定や不良分析などに人工知能(AI)技術を活用し、生産管理へのフィードバックも可能になる。モノづくり現場の課題解決のための新たな手法として注目される。

【ヤマザキマザック/ハイブリッド複合加工機 INTEGREX AGシリーズ】

本製品は通常の複合加工機の旋削、マシニングに加え、スカイビング、ホブ、エンドミルと3種類の歯車加工機能を持つ。試作品から、多品種少量品、量産品まで専用機と同等レベルの生産性と精度を実現した。

従来は加工法ごとに専用機を用いる手法が主流だった。本製品で加工することで、設備投資を抑制できるほか、生産リードタイムを短縮できる。工程集約という複合加工機の長所をいかんなく発揮できる。

加工精度を確認する計測機能を備えており、加工後の歯底や歯山の位相検出が可能だ。歯面上のうねりや傾斜などを検出し、計測後にバリ取りなどの補正追加工ができる。

《日本力賞》

【島津製作所/高速液体クロマトグラフ質量分析計LCMS―9030】

四重極型と飛行時間型(TOF)と呼ぶ2種類のイオン質量分離機構を持つ高速液体クロマトグラフ質量分析計。独自開発のコア部品で他社従来品比で同等の精密な質量分析精度を確保しつつ、検出感度を同3倍に高めた。製薬や法医学、環境、食品などの研究分野で、複雑な化合物の高精度な定性・定量分析ができ、構造解析に有効な情報が得られる。

イオンの導入部から分離部は既存技術を応用。TOF部は独自構造で、他社品より高電圧を加えられるイオン射出用電極と、イオンが反射時に異なる広がりをするのを制御するイオン反射ユニットを採用した。これら独自開発のコア部品によりイオンの動きを制御。高感度、高速、高分解能な製品に仕上げた。

【シャープ/有機EL搭載スマートフォン「AQUOS zero」】

自社開発の有機ELディスプレーを採用したスマートフォン。有機ELパネルは深みのある黒を表現でき、液晶パネルよりも軽い。スマホ用有機ELディスプレーは韓国のサムスン電子やLGなどが供給するが、日本メーカーではシャープが初めて量産化した。堺事業所(堺市堺区)などで生産する。

パネルサイズは6.2インチと大型で、半導体チップは最先端品を採用した。液晶パネルを使ったスマホは大型化に伴い、重量200グラムを超える機種が増えている。本製品は有機ELパネルの採用に加え、筐(きょう)体の設計を見直し、素材もマグネシウムと高強度な樹脂を採用して、同146グラムに抑えた。ゲームや動画鑑賞などで長く持ち続けていても疲れにくい。

【ダイヘン/充放電スタンドと蓄電池設備を一体化した非常用電源システム「V2Xシステム」】

プラグインハイブリッド車(PHV)や電気自動車(EV)と、市役所、学校、商業施設などをつなぐエネルギー管理システム(EMS)。PHV・EV用急速充放電器、定置型蓄電池、パワーコンディショナー(電力調整装置)を組み合わせて制御する。災害時は車の蓄電池を使い、施設の電力をまかなう。

駐車場に車1台分の空間があれば設置できる。平常時は車に蓄えた電力を使い、施設の最大電力を抑える。非常時はPHVにガソリンを補給すれば、発電機として避難所などに電力を継続的に供給できる。

避難所を持つ地方自治体などに事業継続計画(BCP)対策として、コンサルティングサービスと合わせて提案をしている。

【MUJIN/物流倉庫自動化を実現「ピースピッキングソリューション」】

産業用ロボットの“頭脳”にあたる知能ロボットコントローラーでさまざまなロボットを制御し、多品種を扱う物流倉庫のピッキング作業を自動化するソリューション。ロボット教示作業がいらない完全ティーチレスで、大きさや形が異なる多品種商品を3次元認識し、最高で毎時900回の高速でピッキング作業ができる。

重いものはゆっくり運ぶ、こわれやすいものはゆっくり降ろすなどと製品特性に合わせた調整が可能で、パウチパックや袋物、円筒など異形状のピッキングに対応できる。ロボットのメーカーを選ばない汎用性も備える。

モーションプランニングと3次元画像認識技術などが決め手。人手不足に悩む物流産業に大きな戦力となる。

《モノづくり賞》

【キタムラ機械/AIによるマシニングセンタの自動運転機能「Auto―Part―Producer」】

加工対象物(ワーク)のCADデータから、工作機械の加工用プログラムを自動作成できる。従来、機械加工を熟知した技能者がコンピューター利用製造(CAM)を用いて作成していたが、自社製コンピューター数値制御(CNC)装置「Arumatik―Mi」に搭載した人工知能(AI)が肩代わりする。

CNC装置にワークのデータを読み込ませるとAIが自動的に解析。加工物の取り付け方を手引きし、完全自動で機械部品などの加工ができる。自動で干渉も回避する。干渉が不可避の場合は、あらかじめ警告する。モノづくりの現場で負担の大きな加工プログラム作成を省力化し、中小製造業で深刻な人手不足の解消に寄与する。

【ジェイテクト/「CBN小型クランクシャフト研削盤GF16Sシリーズ」】

労働人口減少により、産業用ロボットに使われる小型クランクシャフトの需要増加が見込まれる。本製品は、そうした背景を見越して開発された。得意の研削盤で、顧客層を想定した新機種を投入し、顧客のニーズに応えようというものだ。

砥石(といし)台の軽量化と低重心化で研削性能を高め、サイクルタイムを従来比27%短縮した。既存機種ではオプションだったダイレクトドライブ砥石軸を標準搭載し、軽量化を実現した。低重心化により、研削時のブレを抑える。

数値制御(NC)装置は自社製の最新版を搭載した。操作性が高まるほか、稼働状態を見える化して保守作業を効率化できる。

【不二越/スリムアーム協働ロボット「CZ10」】

安全柵を設けることなく人と同じ空間で作業できる協働ロボット。国際安全規格「ISO10218―1」の認証を受けた安全設計で、人との接触を検知して停止する安全機能、アームに手を挟まれにくい本質安全構造、感電リスクを低減する低電圧仕様を採用した。

各軸にはセンサーを搭載し、高精度な位置制御による精密な作業にも対応する。アームを直接動かしながら動作を教示するダイレクトティーチング機能では、直線動作やハンドの向きを一定に保ったままのティーチングを実現。ロボットの使用経験が浅いユーザーでも扱える使いやすさを追求した。軽量・スリムで滑らかなデザインを採用。アーム内部の配線や配管を可能にし、取り回しも容易にした。

【三菱電機/産業用PC「MELIPCシリーズ」&データ分析・診断ソフトウエア「リアルタイムデータアナライザ」】

生産現場のあらゆる機器をつなぎ、工場内のエッジ領域でデータを収集・分析して、リアルタイムに制御する産業用PC「MELIPCシリーズ」。最上位機種では、2種類の基本ソフト(OS)「Windows」と「VxWorks」の同時稼働により、データの扱いやすさとリアルタイム制御を実現した。三菱電機など7社が主導する工場用IoT(モノのインターネット)基盤「エッジクロス」に対応する。

そのエッジクロスに対応したデータ分析・診断ソフトウエア「リアルタイムデータアナライザ」では、人工知能(AI)による波形データのパターン学習・認識で「いつもと違う」状態を検出し、人の知見に頼らない予防保全などを実現できる。

(2019/1/4 05:00)

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