[ 機械 ]

第61回十大新製品賞/本賞 ヤマザキマザック ハイブリッド複合加工機

(2019/2/5 05:00)

  • 山本雄記さん(左)が開発を、山本博雅さん(右)が管理を担った(中央は堀部執行役員)

【ハイブリッド複合加工機 INTEGREX AG シリーズ】

代名詞の複合加工機「インテグレックス」に歯車加工機能を盛り込んだ。複数の専用機に分かれている工程を複合加工機に集約するという得意技を遺憾なく発揮した製品だ。製品名のAGは「オートギア」の略だ。複合加工機で自動化を実現という理念を歯車加工でも体現した。

2013年ごろ、専用機が一般的な歯車加工への挑戦を始めた。自動車や航空機で歯車と周辺部品の一体化が進み、複合加工機での加工需要が高まると踏んだ。

開発は成功し、希望する顧客ごとに特注で対応してきたが、研究開発を進めて機能を盛り込むには製品化が必要と判断した。

エンドミルとホブ加工のほか、スカイビング加工にも対応することにした。需要が高まっている加工法だが、高精度を出すのが難しい。専用機並みの精度を目標に、1年前に開発に着手した。

スカイビングは工具を傾斜させ、加工対象物(ワーク)とシンクロして加工する同期制御が求められる。機械本体、制御の両面で改良に取り組んだ。

メーン開発者の山本雄記技術本部ソリューション開発部サブグループリーダーは「最初はうまくいかなかった」と振り返る。加工結果のデータ解析を重ね、主軸を高速・高精度に回転させるよう、改造を施した。制御面では、加工結果を基に最適なチューニングになるよう調整した。こうして専用機と同精度を実現した。堀部和也執行役員ソリューション事業部長は「専用機に追いつくことができた」と胸を張る。

加工結果を機械内で計測できるようにしたことも大きい。ワークを取り外さずにそのまま計測し、バリ取りなどの追加工ができるため、無駄がない。

通常と異なる開発体制だったことも特色だ。加工技術の研究部門であるソリューション事業部が開発を主導した。管理者を務めた山本博雅ソリューション事業部iSMARTシステム開発部グループリーダーは「機械開発の経験がない中で手探りだった」と明かす。製品開発が社内に新たな風を吹き込む効果ももたらした。(名古屋・戸村智幸)

【製品プロフィル】

大量生産では専用機が必要だが、少ロット品では複合加工機に集約してリードタイムを短縮できる。外注していた歯車加工を内製化する顧客を想定し、歯車加工の経験がなくても、簡単にプログラムを作成できるようにした。数値制御(NC)装置上で加工条件が質問のように出され、それに答えて入力することで作成できる。

(2019/2/5 05:00)

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