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4月18日は「発明の日」 知財活用、一段と重要に

(2019/4/23 05:00)

業界展望台

きょう4月18日は発明の日。1885年4月18日に現行特許法の前身である「専売特許条例」が公布されたことに由来する。特許や意匠、商標など産業財産権の普及・啓発を目的に制定された。日本の産業競争力を高めるためにも、知的財産の創出や保護、活用の在り方について改めて考える一日としたい。

人工知能(AI)、IoT(モノのインターネット)、自動運転車―。第4次産業革命の進展で革新技術が相次ぐ中、特許など知的財産権を活用した経営戦略が一段と重要になっている。知財活用を促すにはスタートアップ企業への支援策や、権利を保護する仕組みなどが不可欠だ。特許庁は日本企業の知財戦略をどう後押ししていくのか。審査期間の大幅短縮や特許侵害に対する検査制度の拡充など、近年の取り組みを追った。

特許庁、スタートアップ支援

スタートアップは革新的な技術やアイデアを持つ一方、知財を権利化する動きが鈍いとされる。ある調査では、米国に立地するバイオやITなどのスタートアップが創業10年で数十件の特許を取得するのに対し、日本は3分の1以下にとどまるという。

競争力の源泉である知財を独占しなければ他社に奪われかねない。自社技術を知財権として確保し、模倣を防止したり、事業提携などのオープンイノベーションにつなげたりする必要がある。また近年では各地域の金融機関が知財を評価し、資金調達に応じる事例も増えている。

こうした中、特許庁はスタートアップの実情に即した支援策を拡充。2018年7月には、通常審査より短い期間で特許を取得できる「スーパー早期審査」と「面接活用早期審査」の二つの仕組みを始めた。

スタートアップが資金を調達する際、最適なタイミングで権利を取得すれば投資家に技術力や競争力を訴求でき、より多くの資金を集めることが可能になる。ただ資金調達から次の資金調達までの一般的な期間が1年強であるのに対し、通常審査だと平均で14カ月程度の期間を要しており、調達のタイミングに間に合わない恐れがあった。

この課題に対応するため、同庁は早期に審査する仕組みを創設した。一つ目のスーパー早期審査は一次審査から最終処分までの期間を大幅に短縮し、平均で約2.5カ月の取得を可能にした。期間が短いため、企業側の業務負担が少なくなる利点もある。「わずか1カ月で権利が取れた企業もあった」(特許庁ベンチャー支援班)と話す。

二つ目の面接活用早期審査は一次審査の前に担当審査官と面接でき、平均約5カ月で取得できる。技術の意義など書面に書きにくい内容を説明したり、審査官から特許性の助言などを受けたりすることが可能だ。「ビジネスモデルに適合した特許かどうかを確認でき、より適切で広範な権利取得につながる」(同)と効果を説明する。すでにスーパー早期審査は2月末までに91件、面接活用早期審査は10件の申請があった。

専門家がサポート 世界に通じる企業創出

取得に必要な料金や手続きも4月から減免した。スタートアップは審査請求料・特許料や国際出願の手数料を通常の3分の1程度にする措置を維持し、企業規模を示す証明書類の提出も不要にした。「煩わしい提出作業をなくし、口頭で説明すれば良いことにした」(同)という。

  • IPASには有望なスタートアップの関係者が参加した

一方、有力なスタートアップに対し専門家が知財の相談に応じる事業にも取り組んでいる。「知財アクセラレーションプログラム(IPAS)」だ。弁理士やコンサルタントら専門家が技術を権利化すべきかどうかを助言したり、特許出願などをサポートしたりする。18年度は再生医療や量子コンピューターなど先端技術を持つ10社を選定。MDR(東京都文京区)などを支援した。

また知財を活用した海外展開支援にも積極的だ。日本貿易振興機構(ジェトロ)と連携し「ジェトロ イノベーション プログラム(JIP)」を実施。関係者を欧米や中国などに派遣し集中的に研修したり、ビジネスマッチングを行ったりする。

日本は欧米に比べて有望なスタートアップが少ないと言われて久しい。同庁は、競争力を生み出す知財の活用を一段と促し、世界に通じるスタートアップを創出しようとしている。

インタビュー/経済産業省 特許庁長官 宗像直子氏「特許侵害訴訟、立ち入り調査を可能に」

制度の乱用防ぐ仕組みも

―今国会に提出した特許法改正案で、専門家が被告の工場などに立ち入って証拠収集できる制度をまとめました。

「特許侵害訴訟において、裁判所が必要な文書の提出を命じるなどの既存の手続きで、方法やソフトウエアに関する特許権を侵害しているという証拠を収集することは容易ではない。この問題を解決するには特許権侵害の可能性がある場合に、中立的な専門家が被告の工場などに立ち入って必要な調査を行える仕組みがあると良い」

「他方、産業界からは、制度の乱用や営業秘密の漏えいを心配する声が聞かれた。このため(1)厳格な発令要件を設ける(2)裁判所が選任する専門家の忌避を可能とする(3)原告側の現場での立ち会いは認めない(4)専門家の報告書に含まれる営業秘密の黒塗りを申し立てることを可能とするなど、制度の乱用や営業秘密の漏えいを防ぐ仕組みを取り入れた」

―現在進めている中小企業支援策のポイントは。

「4月から、全ての中小企業の特許料金を半額にした。特許料金の軽減を受けられる対象は赤字の企業や研究開発型の企業などから、全ての中小企業に拡大した。また軽減を受けるための手続きを簡素化し、従来必要であった、定款や法人の登記事項証明書などの証明書類の添付が一切不要となった」

―中小企業の国際出願の意義を含め、中小企業の海外展開支援策の概要や狙いを教えてください。

「海外での模倣被害の対策には、現地で特許権や商標権などを取得することが有効だ。この出願費用の補助の申請は、都道府県などの中小企業支援センターで受け付けており、2019年度から申請受付期間を長くできるよう取り組んでいる。また適切な海外戦略を策定できるよう、経営、知的財産、海外ビジネス等の専門家がチームを組み、3年間にわたってコンサルティングを行う事業を始める」

【業界展望台】発明の日特集は、5/1まで全7回連載予定です。ご期待ください。

(2019/4/23 05:00)

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