[ 機械 ]

進化するファインブランキング 市場ニーズの多様化と海外進出

(2019/7/29 11:00)

小型機から大型機へ

 ファインブランキング(FB)はプレス加工の一種であり、打ち抜かれた断面が全てきれいな面(剪断面)になる特徴を持つ。当社は1981年に国産油圧式FBプレスの開発に着手し、翌年初号機を納入した。当初はなかなか受け入れてもらえなかったが、徐々にその使い勝手のよさとアフターサービスの迅速さがユーザーに認められて国内市場で浸透。2000年代になると海外への輸出も増加し、最近では輸出機が年間納入台数の約8割を占めるようになった。日本―欧州連合(EU)、日本―アジア各国のEPA(経済連携協定)発効で、海外への進出がなお一層鮮明になるであろう。

森鉄工 営業部顧問 吉川 和信

FBプレス機の変遷

  • 世界最大級の1万5000キロニュートンの大型機「FB1500―FDE」

 FBは古くは時計用、事務機用などの部品製作に応用されてきたが、1980年代以降は二輪車・自動車用部品への展開が多くなった。薄板・単能型での小物部品から厚板・大物の部品の加工、また生産性の向上のため順送型、多数個取り金型の使用へと市場の要求が多様化した。

 その結果、FBプレス機は小型機から大型機へと変遷し、当社では本年、世界最大級のFB1万5000キロニュートンを納入した。ピンタイプの受圧部としたため、ほぼ1メートル四方の受圧面積となり圧力ピンの配置の自由度が高く、大型金型の設計が容易となっている。

 初号機納入以来38年間の納入実績は520台であり、内300台が海外15カ国に輸出、欧州の安全基準であるCEマーク認証など各国の仕様に対応している。

 FBの加工品として自動車用部品に求められる内容は、材料的には厚板、高張力鋼板(ハイテン)と難易度が高くなっている。

 コスト的には機械加工をできるだけ省く狙いから、つぶし加工などの複合加工を行う順送型の使用や、多数個取り、高速化である。金型もこれらに対応して、順送ステージ数が多くなるなどの傾向にある。したがってFBプレス機もこのような金型に対応する必要がある。

ニーズの多様化・高度化

■受圧部の対応

 多工程順送型や複数個取り金型への対応として、受圧部面積の拡大を可能とした。仕様打ち合わせでニーズに対応している。したがって標準仕様の円形のほか、長方形、楕円形などの受圧部形状がある。ピンタイプも可能である。

■補助油圧回路の多回路化

 つぶしなどを含む立体的な加工金型で、金型内にシリンダーを設けてFBプレスの3軸の油圧以外に使用可能な油圧が欲しい場合、要望に応え補助油圧回路として設置する。最大8回路の実績がある。多回路化による油量の不足をきたさぬように油圧発生源も独立させ対応している。

■加圧時間の長時間化対応

 厚板の加工や立体的部品加工などでは、通常の順送型だけでなく、1ステージで2工程分を加工するなど、いわば縦順送とも言えるような金型を使用する。このような複雑な部品加工では加圧時間が長くなるので、アキュームレーターの容量の増大、本数の増加設置により対応している。

■高速化(SPMの 向上)への対応

 ポンプの大型化や2連ポンプの採用などでポンプの吐出量を増加させ、加圧速度・無負荷速度の向上を図り、高いSPMを実現している。4000キロニュートンプレス4個取金型で50SPM、1万キロニュートンプレス8個取金型で58SPMなどの実績がある。小物部品の大量生産に特化した機械式MFB2000キロニュートンプレスにおいては150SPM仕様を実現している。

■環境に配慮した 省エネ機FBIN

 FBINシリーズはインバーターモーターの採用によって、従来機に対して待機時電力で約50%、運転時電力は20―30%の削減ができ、運転時の騒音の低減、作動油の寿命延長など環境にやさしいFBプレスである。

■豊富なラインアップ

 油圧FBプレスは1600キロニュートン―1万5000キロニュートンまでの10機種(FBINを除く)、機械式FBプレス2500キロニュートンを加え12機種の中から、仕事に合わせた機種の選定が可能だ。

■ものづくりlab

  • ユーザーの製品加工法開発を支援する「ものづくりlab」

 当社はユーザーの製品加工法開発の一助となるように「ものづくりlab」を研究開発棟として開設し、FB8000キロニュートンを常設している。また、そのほか油圧プレスとして、揺動プレスやワンショットフォーミングプレス(多軸プレス)も常設して、ユーザーに提供している。

◇ ◇ ◇

 当社が立地する佐賀は明治維新に、その進取性から多くの人材を輩出している。その気風は現在も流れており、当社の「Challenge Spirit」の根幹を成す。果敢に挑戦し顧客の要望に真摯に耳を傾け、顧客に育てて頂いたればこそ、今日の当社があると言って過言でない。今後も顧客の要望に応えるべく挑戦を続けていく。

→ MF-TOKYO2019特集

(2019/7/29 11:00)

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