社説/FIT抜本改革と産業界 技術革新で再エネ普及に貢献を

(2019/9/11 05:00)

経済産業省は再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)の抜本改革を盛り込んだ中間整理案をまとめた。FITの運用で生じる国民負担を抑えつつ、コスト削減を喚起して再エネの普及につなげるのが狙いだ。産業界も再エネの普及を後押しするため、出力変動リスクを解消する水素や蓄電池の技術革新で貢献したい。

政府は昨夏に策定した「第5次エネルギー基本計画」で、太陽光発電など再エネの主力電源化を明記した。温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」を見据え、化石燃料依存からの脱却や二酸化炭素(CO2)の排出削減を進めるためだ。

ただ再エネの普及には、コスト構造や出力変動の点で課題がある。特にコスト面ではFITが足かせとなっている。この制度は電力会社が固定価格で電力を買い取り、そのコストを消費者全体で負担する仕組みで、当初は有効に機能した。だが導入が進むにつれて国民の負担額が増大し、直近の負担額は年間2兆4000億円に上る。

そこで今回の整理案では大規模な太陽光や風力発電を買い取り対象から除外する措置を盛り込んだ。入札や相対取引による販売に転換して事業者の競争意識を高め、国の支援に頼らない自立的な電源に育成する。高コスト構造を改善すれば採算が取れる適地が増え、導入の機運は一段と高まりそうだ。

産業界の役割も大きい。再エネは時間帯や季節の変化で出力が上下する変動リスクが付きまとう。リスクを減らすには水素や蓄電池を最大限活用する必要がある。再エネの余剰電力を使って水を電気分解し、水素として貯蔵したり、高効率の大型蓄電池を開発して蓄えたりする取り組みが求められる。

ただ水素の輸送・貯蔵技術の実証は緒に就いたばかりで、需要の創出も進んでいない。また蓄電池の研究は中国が政策的に取り組みを強化しており、太陽光パネルなどと同様、いずれ国産でなくなる懸念もある。日本の産業界は技術革新を通じて国内の再エネ普及やエネルギー安全保障に貢献してもらいたい。

(2019/9/11 05:00)

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