IT・IoTソリューション フォーラム2019 【PR】

(2019/9/20 00:00)

  • セミナー風景

 三菱電機と日刊工業新聞社は8月27日、東京都文京区の東京ドームホテルで「IT・IoTソリューションフォーラム2019」を開いた。製造業におけるIoT(モノのインターネット)活用事例や最新動向を紹介し、情報システム部門や生産管理に携わる約150人が参加した。

 基調講演ではインダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI)の鍋野敬一郎エバンジェリストが登壇。企業講演では、三菱電機グループから3名が登壇し、各取り組みを紹介した。

企業講演1 ~「ITを活用したアフターサービスの充実」~アフターサービス業務用途IoTソリューションのご紹介

(三菱電機インフォメーションシステムズ 産業・サービス事業本部 産業第一事業部 サービス事業推進センター 第一グループ グループマネージャー 中松 幸治 氏)

企業講演2 IoT時代の製造業におけるセキュリティ対策とは ~工場の見える化とセキュリティ強化策~

(三菱電機インフォメーションネットワーク セキュリティサービス事業センター 副センター長 兼 デジタルトランスフォーメーション推進室長 手束 裕司 氏)

企業講演3 社会保険手続の電子申請を革新的に業務効率化するには

(三菱電機ビジネスシステム 第一事業本部 営業統括部 プロフェッショナル 高橋 さとみ 氏)

基調講演 DX時代における製造業IoTデータ活用による”モノ+コト戦略” ~日本のスマートものづくりと働き方改革を実現する取り組みの紹介~

一般社団法人インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブエバンジェリスト 鍋野 敬一郎 氏

  • 基調講演 鍋野氏

 一般社団法人インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI)は5年前に設立し、現在約739名の会員で活動している。メンバーは社員数十名の中小企業からトヨタなどの大企業まで幅広い。IVIは企業・国を超え「つながる」モノづくりを目指している。つながることが最大の競争力になる。そのためにも、企業の垣根を越えケーススタディを共有している。

 会員は課題ごとにワーキンググループをつくり検討や実証を進め、成果をセミナーで紹介している。これまでの成果としては、伝承が難しかった「匠の技」の、音や火花などの感覚に基づいて行っていた部分をデータ化し、共有に成功した例などがある。またAI、ホロレンズ、ロボットなどの最新技術を活用した事例もある。この活動でのポイントは技術や現象をデータ化することにある。

 IVIの特徴は「つながる工場」と「ゆるやかな標準」。モノづくり現場がデジタルデータによりつながることでムダをなくし、スマートバリューチェーンを実現する。IVIのデジタル化の考え方は欧米型の全てデジタル化するやり方とは異なり、つながるために必要な部分はデジタル化して「見せる」、熟練の技が必要な部分は「見せない」構造にすることを推奨している。つながるためには共通化が必要だが、自社の強みを保ちながら徐々に接続仕様を変化することを提唱している。また、そのためのマニュアルは現場で働く従業員に分かりやすくなければならず、演劇のようにシナリオチャートで伝えるようにしている。

 製造業のメガトレンドはデジタル化、サービス化(モノをつくるだけでなくそれのサービス化(メンテナンスやアフターサービスなど))、オープン化だ。「モノづくり」と「コトづくり」両方行うことで製造業はレベルアップする。

 製造業のシステム投資は2025年までに取組みを始めておかないと経済損失が大きい、というレポートが経済産業省から出されている(経済産業省DXレポート)。現在ERPなどの基幹システムにシステム費全体の8割投資がされているといわれているが、今後IoTなど新しい領域への先行投資がもっと必要になってくる。世界の時価総額トップ10と日本の時価総額トップ10を比較すると、この10年で時価総額の伸びは世界1.6に対し日本1.1となっている。成長が小さく、このままでは日本の産業が衰退してしまう。個々の会社が生き残るだけでなく産業界全体が活性化することが必要だ。企業間、工場間でつながることで強みを補完しモノとコト(サービス)の競争力を高める取り組みが重要となる。モノを作っているだけの戦いではない。一社で悩むのではなく、IVIのように複数企業がオープンに協力してモノとコトで強みを補完し合って勝ち残る時代になってきている。

企業講演1 ~「ITを活用したアフターサービスの充実」~ アフターサービス業務用途IoTソリューションのご紹介

三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社 産業・サービス事業本部 産業第一事業部 サービス事業推進センター 第一グループ グループマネージャー 中松 幸治 氏

  • 企業講演1 中松氏(三菱電機インフォメーションシステムズ)

 これから「攻めのIT」がポイントになってくるが、われわれはアフターサービスの分野においてIoTを使って攻めのITが実現できるのではないかと考えている。今後はモノづくりだけでなくコトづくりといった付加価値が必要とされてきていることから、アフターサービスも含めた品質として勝負することが求められる。またIoTなどの新しい技術によりできることが増えたこと、安価なネットワークサービスが出てきたこと、にもかかわらずまだアフターサービス分野でIoTが活用されていない。

 今後アフターサービスではデータやIoTを使い故障を事前に予知し、人の感覚に頼ることが多かった保守点検技能の見える化やデータ化・自動化の実現などが可能になると予想される。しかしこういった分野のIoT化にはまだあまり投資されていないという。

 当社ではIT化に関してレベル1(データでの見える化)~4(完全な自動化)の段階を設定している。人の良さを残していくことも必要だろうと考えており、どこを人で、どこを自動化するかを見極めることがこれからのアフターサービスで必要になってくる。

 重量物の運搬機を例に挙げ、メーカー、販売代理店、ユーザーそれぞれに関する事例を紹介する。ここでの狙いは、運搬機の情報をリアルタイムで収集し適切なタイミングで保守できるようにすること、データをクラウド上にアップしセキュリティを確保する、単なる可視化ではなく攻めの保守につなげたいというという3点。まずリアルタイムであがってきたデータになんらかの異常があった場合、エンドユーザーとメンテナンス担当企業、メーカーそれぞれにメールで通知する。これにより不具合に気づくのに遅れたり、情報共有に時間がかかったりすることがなくなり、対応のスピードが格段にアップした。またユーザーに事前にデータを根拠にした部品交換を提案することで受け入れてもらいやすくなり、ユーザー側も社内調整や対応がしやすくなった。

 さらに今後は各部門で得たデータを一つの基盤に集約し、全社で活用できるようにすることを目指している。それには各部門でどのようにデータを活用しているのかを把握することが不可欠である。当社は製造現場向けの幅広いシステムを提供しており、三菱電機グループということもあり製造業への理解が深い。多彩な製品やステークホルダーに合わせたソリューションを提供することができる。

企業講演2 IoT時代の製造業におけるセキュリティ対策とは ~工場の見える化とセキュリティ強化策~

三菱電機インフォメーションネットワーク株式会社 セキュリティサービス事業センター 副センター長 兼 デジタルトランスフォーメーション推進室長 手束 裕司

  • 企業講演2 手束氏(三菱電機インフォメーションネットワーク)

 当社ではセキュリティサービスを20年以上提供しており、現在「CyberMinder(サイバーマインダー)」というブランドでセキュリティ診断や不審メール訓練などのコンサルティング系のサービスから境界/内部セキュリティ、工場向けのセキュリティまで幅広くセキュリティサービスを提供している。これまでは工場やデータセンター、会社の中は安全な領域であり、インターネットなど企業の外側は危険な領域だと言われていたが、近年はテレワークやクラウドサービスの活用などでこの境界線が意味をなさなくなっている。そこで、当社では、セキュリティサービス(CyberMinder)、セキュアアクセスサービス、トラストサービスの3つのサービスを組み合わせることにより、ゼロトラストモデルのセキュリティソリューションを提供している。

 2019年の情報セキュリティ10大トレンドでは、1位は仮想通貨の盗難、詐欺の拡大であった。ポイントは2位の標的型攻撃、3位IoT機器、8位ランサムウェア(昨年は1位)。ランサムウェアは対策が進んで8位まで順位が下がったが、まだ製造現場では被害リスクが高い。また標的型攻撃は巧妙化しリスクが高まっている。サイバー犯罪がビジネス化し、攻撃コストが下がっているほか、重要インフラの破壊テロも起こっている。

 IoTに関しては、2016年に10万台以上の監視カメラがマルウェアに感染して乗っ取られ、DDoS攻撃により米国内のインターネットが半日近く停止するという事件が起きた。DDoS攻撃はその後も攻撃技術が進化し続けている。

 IoTは事業領域が幅広いため、当社では、産業向けIoT(Industrial IoT)に注目し、セキュリティサービスを提供している。これまで、工場内ではOA環境やインターネットとは物理的に分離していたが、近年では生産データ分析、稼働状況の確認などでネットワークにつなぐ必要性が高まってきた。これによるリスクは、例えばマルウェアに感染するとPLCに不正コマンドを実行したり、安全装置で不正な数値を実行してしまうなどが挙げられる。すると工場停止や品質の悪化、従業員が脅かされることなどが発生する可能性がある。

 工場へのセキュリティ導入はどうすればよいか。当社では、「標準規格、ガイドライン」として、制御システムの国際標準規格「IES62443」、米国政府調達基準の「NIST SP800シリーズ」からセキュリティ要件を抽出し、さらに製造現場の「環境に対する脅威リスク」として、「外接ネットワークからの侵入」、「USBなど持ち込み媒体からの感染」、「保守回線からの侵入」、「不正端末接続からの侵入」、「感染端末の水平展開」を定義した。この2つの国際標準、ガイドラインと環境に対する5つの脅威リスクから、工場向けのセキュリティソリューションとして、①ITとOTの境界分離、②通信の可視化(ふるまい検知)、③端末制御、④持ち込み媒体対策のサービス提供を行っている。製造現場にセキュリティそのものだけを導入しようという企業はまだ多くはないが、新設工場への導入、既存工場の脆弱性対応など事例も出始めている。今まさに製造現場のデジタルトランスフォーメーションに取り組み始めている企業が多く、当社では、この製造現場のデジタルトランスフォーメーションを支援するため、「データ分析」、「ネットワーク構築」、「セキュリティ」を組み合わせた「工場向けDX支援パッケージ」の提供を予定している。

企業講演3 社会保険手続の電子申請を革新的に業務効率化するには

株式会社三菱電機ビジネスシステム 第一事業本部 営業統括部 プロフェッショナル 高橋 さとみ 氏

  • 企業講演3 髙橋氏(三菱電機ビジネスシステム)

 2018年7月に、「税や社会保険手続きの書類が不要になる」という報道があった。驚いてすぐ厚生労働省に問い合わせたところ、トリガーとなる書類はなくならないが、エビデンスを証明する付帯書類が不要になるということだった。その後電子政府化が進むという報道が続いている。日本の電子手続き化は遅れている状況である。2001年に「e-Japan」戦略を掲げ、2003年に電子申請が開始、その後もさまざまな取り組みもあったが進まなかった。2015年にAPI電子申請が開始し、やっと少しずつ浸透し厚生労働省では利用率が13%ほどになってきた。2020年には特定の法人において一部の社会保険申請などの電子申請が義務化するため、対応が急務となっている。

 電子申請は電子政府の総合窓口「e-Gov」にて手入力で行うことができる。しかし1件1件行わなければならず莫大な数の申請は大変な手間となる。申請システムを導入し、現在使っている人事・給与システムと連携して申請データを作成し、API外部連携機能にて一括で申請する方式がある。

 当社の提供している電子申請システム「ARDIO」は既存の人事給与システムを活かしデータを変換し申請用データを作成する。作成したデータへの加筆修正、e-GovにAPI外部連携で一括申請、その後の申請状況の管理機能も有している。

 生産性向上できるあるべき姿で効率化を実現すべく電子申請したいという経営者の方も多いだろう。しかし電子申請システム導入はボトムアップで進めた方がよい。手続きは多岐にわたり導入に時間がかかるので、導入段階で長い時間がかかると法改正が進み検討したことが無駄になってしまう。まずは現場が一番困っている部分からスモールスタートで導入していくのがよいと思われる。

 対応する総務部門の課題としては、システムリテラシーと安全性への不安が挙げられる。また基幹システム側でブラックボックス化している情報の分析や、不足情報の洗いだしも必要になってくるだろう。さらに行政側にも課題があり、地方によって必要エビデンスが異なることもある。現場には、電子申請にすれば手続きが迅速化されるのかという心配もある。

 ともすると現在は、間接部門への投資優先度は低く、生産性向上しても評価されにくい。できるところは合理化し、公的保険制度を最大限活用するスペシャリストとして活躍してもらいたい。今後も予想される制度改正に対して、ベンダーなどをうまく利用して、社会保険の全体的な制度を理解し、業務効率化を進めていただきたい。

三菱電機株式会社

機器から保守までワンストップの三菱電機セキュリティー「ディガード」

http://www.mitsubishielectric.co.jp/security/

(2019/9/20 00:00)

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