社説/奈良県生駒市の挑戦 副業容認で多様な人材採用を

(2019/10/18 05:00)

奈良県生駒市が社会人を対象に「副業・兼業・テレワークOK」とする職員採用試験の募集を始めた。企業や自治体で副業解禁の動きが広がる中、多様な働き方を示すことで有望人材の採用につなげられるか、模範となる成果を期待したい。

具体的には、求人情報サービスのエン・ジャパンと連携し、2020年4月から7分野で計7人程度を採用する方針。まちづくりや人口減少などの課題に対応するため、採用形態を見直し、外部のプロフェッショナルな人材を採用する狙いがある。

公務員の副業は企業に比べ多くの制限が設けられている。国家公務員は国家公務員法第103条で営利企業の役員兼業を禁じ、自営兼業も制限する。一方、同法104条では非営利団体との兼業を可能とし、社会通念上相当と認められる程度を超えない額であれば報酬も認めている。地方公務員法でも原則、営利目的の副業を禁止している。

ただ、近年は働き方改革の一環として副業解禁を打ち出す大企業が増えてきた。一定の基準を設けて公務員の副業を認める自治体も出てきた。神戸市は17年に設けた「地域貢献応援制度」で職員の副業を容認。同制度によって市職員が阪神・淡路大震災の復興を担ってきたNPO法人などの人手不足をカバーする機会が広がった。

生駒市も嘱託・臨時職員を除く在職1年以上の職員を対象に公共性のある組織で副業に就きやすくする制度を設けている。これにより職務時間外でスポーツやNPO活動に参加する職員が出てきた。今回新設した採用制度は外部人材の副業も認めるという内容で、テレワークによる非常勤の勤務も容認する。

小紫雅史市長は採用人材について「メーンとなる業務は当然あるが、それ以外も広く見てもらいたい」と期待する。環境や福祉など関係部局だけでは対応できないためだ。企業でも複雑化する課題に対応するため社外の連携が必要になっている。副業容認で多様な人材を採用しようとする生駒市の取り組みは、行政のみならず企業にも通じるモデルケースになってほしい。

(2019/10/18 05:00)

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