産業春秋/国産ノリの危機

(2019/12/3 05:00)

例年、宮城県塩釜市で11月20日前後に始まるノリ(原料)の入札が、10月の台風19号の影響により1週間遅れの27日に始まった。この時期に収穫する一番摘みで作る「新のり(板ノリ)」は、香りと味がよく正月向けに販売される。

ノリの収穫は海水が下がる11月下旬から翌年の4月まで。今後も入札は各地で開かれるが、異常気象による海水温度の上昇で不漁が見込まれるため、十分な量の確保は難しい状況だ。

ただ板ノリの国内消費は、好調なコンビニなどのおにぎり向けが貢献し、2018年の国内需要は前年比ほぼ横ばいの約80億枚。一方、国内産は同約20%減の60数億枚。これを韓国や中国からの輸入品約18億枚が補っている。

そんな中、苦境に立たされているのが板ノリの卸や加工・販売業者たちだ。東京・日本橋の老舗の社長は「原料が高値続きで続けられるか」と弱気だ。同業者は80年代の1000社超をピークに、現在は600社前後に減少した。

海外はすしブームで需要は増加傾向だが、国産の板ノリが不足し、安定調達のため品質にバラつきのある海外品が取って代わる勢いで増えている。業者からは、“正しい和食文化”が十分に伝えられないという危機感が高まっている。

(2019/12/3 05:00)

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