エネルギーの技術革新に欠かせない 安定化電源&電子負荷装置

(2019/12/25 05:00)

業界展望台

充放電システムに注目

  • LIB世界市場

安定化電源や電子負荷装置はエレクトロニクスの進化を支える重要な電子測定器の一つ。電気自動車(EV)に搭載されるリチウムイオン電池(LIB)の測定需要はさらなる高出力、長寿命、安全性などを目指した研究開発、生産にけん引され、安定化電源や電子負荷装置、これらを組み合わせた充放電システムに注目が集まっている。LIBは世界的なEV開発を中心に需要の伸長が見込め、車載用ワイヤレス給電システムの開発、インバーターなど省エネルギー機器の技術革新でもこれら電子測定器の重要性が高まっていく。

安定化電源や電子負荷装置は直流と交流のモデルがある。テレビなどの家電製品、電池で駆動するデジタルカメラや携帯ゲーム機などは直流と呼ばれる電力で駆動する。

家電製品はコンセントから交流の電力(商用電源)を受け、機器の内部で直流に変換している。

■交流安定化電源

商用電源は発電所からコンセントに電力が届くまでに電圧変動の影響を受けている。この電力が電圧不足や変動、ノイズが混じっていたりすると、正しい測定結果が得られない。交流安定化電源は周波数や電圧など安定した交流電力を発生させることができ、電子機器の正常な動作や測定に不可欠だ。

直流や交流の安定化電源は大電流、高電圧化要求が高まる一方で筐体(きょうたい)の小型化も求められている。2018年4月には、航空機関連市場などをターゲットとする菊水電子工業が、炭化ケイ素(SiC)を搭載することで従来製品に比べて体積当たりの電力を約3倍に向上した交流安定化電源を発売。常に技術革新に挑戦し、ユーザー要求に応え続けている。

■電子負荷装置

電子負荷装置は直流や交流の電源や電池、コンデンサーなど電気エネルギーを出力する機器の特性を測定する装置。電気を消費させるため抵抗で負荷を与えるが、電子負荷装置は電流や電圧を自由に変化でき多様な負荷を与えることができる。直流安定化電源と直流電子負荷装置を組み合わせることで、LIBなどの充放電特性試験もできる。

電子負荷装置が受け取ったエネルギーを電力に変換して工場などの電力として利用できる「回生」機能を搭載した製品は、環境配慮の観点からも購入判断の一つになっている。

■直流安定化電源

直流安定化電源は商用電源を、直流の電気に変換してエネルギーを発生させる。電子機器やモジュールの開発や生産に欠かせない。

LiB向け需要けん引

安定化電源や電子負荷装置の需要をけん引する市場として期待されるLIBは、安全性や高出力、長寿命など高い性能が求められる。自動車からモバイル端末まで幅広い用途で搭載されている。

特にEVやプラグインハイブリッド車(PHV)の普及で電動車(xEV)市場が拡大している。

富士経済によると、LIBの世界市場は22年に18年比約1.8倍の7兆3914億円になると予測。このうちxEV向け市場は伸長が大きく同2.1倍の4兆5344億円の成長と見込んでいる。

メーカーと商社の取り組み

  • 菊水電子工業の体積当たりの電力を約3倍に向上した交流安定化電源

菊水電子工業はシーケンス機能やデジタルインターフェースを搭載した直流安定化電源に定格電力2000ワットの大電流モデルを新たにラインアップ。増え続ける自動車電装品の出荷前試験、通電試験などの用途を見込んでいる。

  • EV用ワイヤレス給電システムのシステム装置(クロマジャパン)

台湾の大手測定器メーカー、ChromaATEの日本法人クロマジャパンはEVのワイヤレス給電システムについても提案。安定化電源や電子負荷装置などを組み合わせたワンシステムで提供ができる。受電と給電コイルの試験が自動ででき、同社は「日本企業から注目を集めている」という。

日本電計は安定化電源と電子負荷装置に足踏み感があるものの、車載用LIB市場に期待を高めている。充放電市場にシステム提案を強める方針だ。

東日本電子計測は自動車業界の落ち込みは一時的と捉えており、今後は需要は伸びると考えている。製品情報などのアピールで販売力を高める。

東洋計測器は車載用途では安全試験器の引き合いがでている。2000ワットクラスの安定化電源が好調。スマートフォンのワイヤレス給電化の開発や生産によるものと分析している。

12月12日はバッテリーの日

  • (右上段)山口投手、(右下段)小林捕手、(左上段)増田投手、(左下段)森捕手

電池工業会などが協力する「2019プロ野球最優秀バッテリー賞」表彰式が、9日、東京都内のホテルで開かれた。パ・リーグは埼玉西武ライオンズの増田達至投手と森友哉捕手、セ・リーグは読売巨人軍の山口俊投手と小林誠司捕手が表彰された(写真)。増田・山口両投手は初受賞。

選手にはそれぞれ賞金100万円などのほか、電池工業会からはアルカリ乾電池320本とカーバッテリーが贈呈された。アルカリ乾電池は単三が200本、単四が120本。

増田投手は電池の使い道に「子供のオモチャに使います」、森捕手は「これから考えます」と笑顔で話す。

同賞は球界で最高のバッテリーを表彰する。今年で29回目を迎えるもの。電池工業会は投手と捕手のポジション番号が「1」と「2」であることから、12月12日を「バッテリーの日」に制定している。

(2019/12/25 05:00)

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