社説/疑念残るゴーン会見 日産は業績回復にまい進せよ

(2020/1/10 05:00)

“ゴーン節”は健在だったが、主張には何ら逃亡という犯罪行為を正当化するものはなかった。

日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告が、逃亡先のレバノンで会見した。検察の取り調べ手法が非人道的であったことや、日産自動車と検察が共謀し、「私をわなにはめた」などと述べた。しかし、それらはすべて日本の法廷でこそ主張すべきものだった。かけられた容疑を晴らすだけの具体的な証拠もなく、やはり逃亡は有罪から逃れるためだったのか、との思いを強くさせただけだった。

ただ、現実問題として、ゴーン被告がふたたび日本に戻り、法廷の場に立つ可能性はきわめて低い。日本政府はこれからゴーン被告が発信する「不公平がまん延する日本」というイメージ操作に断固として対抗し、国際世論が正しい方向に向かうよう、あらゆる手段を講じていくべきだ。

そして日産自動車は、毀損した企業価値の回復、拡大へと全力を挙げてもらいたい。日産の株価はゴーン氏逮捕直前から4割減と大幅に下落している。2019年の国内新車販売台数は、56万7643台の前年比7・9%減と、国内メーカーでは2番目の落ち込みとなった。

日産の不振は、ゴーン氏逮捕による企業イメージの低下だけでなく、新車投入のタイミングの悪さや技術開発の遅れなどさまざまな要因がある。仏ルノーと三菱自動車との3社連合の行方が見通せないことも大きい。2019年12月に内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)を筆頭とする新経営体制が発足したが、直後にナンバー3で副最高執行責任者(COO)の関潤氏が辞任を表明するなど、経営陣の足並みの乱れも否めない。

これら山積する課題を乗り越えていくには、経営陣、社員、サプライヤーが団結していくしかない。ゴーン被告は会見で「死んだような日産を私が立て直した」と述べた。ゴーンなき新体制が、再び世界市場で大きな存在とならなければ、ゴーン被告の思うつぼだ。奮起を期待したい。

(2020/1/10 05:00)

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