社説/トヨタ・NTT資本業務提携 GAFAの背中を越えてゆけ

(2020/3/25 05:00)

巨大企業同士の提携が与える影響は大きい。デジタル化で立ち遅れる日本が、世界でふたたび存在感を示せる基盤を作り上げてもらいたい。

トヨタ自動車とNTTは24日、スマートシティーの実現へ長期的・継続的な協業関係を構築すると発表した。同時に相互に2000億円ずつ出資する資本提携にも踏み込んだ。

両社は生活、ビジネス、インフラ・公共サービスなどすべての領域を網羅した「スマートシティープラットフォーム」を共同で構築。まずトヨタが静岡県裾野市で開設するスマートシティーと、東京都港区品川駅前のNTT街区で活用を始め、将来は他都市や海外へ展開させる。

両社が目指すのは、グーグル、アップルなどのいわゆる「GAFA」や中国とは一線を画した、新しいデータ活用によるデジタル社会の仕組み作りだ。

あらゆるモノがネットにつながる時代には、そこから得られるデータの価値が格段に高まる。GAFAはデータを独占し、関連サービス企業がそこに参加せざるを得なくする巨大プラットフォーマーとして世界市場に君臨する。中国は政府が個人情報を把握し徹底的に管理する、官製プラットフォーマーとして、独自の道を突き進む。

両社はデータの活用について、人が中心にあることと、囲い込みではなくオープンな姿勢で協業するという基本的な理念を掲げ、今後賛同者を集めていく。澤田純NTT社長は「GAFA対抗という意識はある」とし、豊田章男トヨタ自動車社長は「NTTとトヨタが日本を背負うという気概でプラットフォームをつくる」と述べるなど、GAFAや中国が独占するデジタル社会の未来に危機感を持ち、対抗勢力として取り組む決意を示した。

今回の提携の強みは、自動車というモノがあることだ。GAFAはデジタル技術はあるが、リアルのモノの世界には弱い。今後さまざまな業種の企業が、思いに賛同して集結すれば、真のGAFA対抗軸となり得るかもしれない。提携の成果は日本の成長にも直結する。

(2020/3/25 05:00)

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