音を創り出す先端技術 サウンドテクノロジー

(2020/5/4 05:00)

業界展望台

自宅で過ごす時間を豊かに

技術革新が加速する中、人々の生活様式に大きな変化が起きている。“音"に関連する技術も例外ではない。近年は自宅に居ながらにしてさまざまな音を楽しめる機器が進化し、臨場感あふれる高音質の演奏を聴いたり、フリー・トークやメーク解説の動画を手軽に配信したりできるようになった。浜松市に本社を置くヤマハとローランドは高度な楽器、音響技術やデジタル技術を駆使した製品展開で、豊かな時間を提案する。

ヤマハ 音の本質を追求 高級オーディオ

新型コロナウイルスの感染拡大により、外出自粛、自宅待機が求められている。こんな時、音楽は不安やストレスにすさむ心に寄り添ってくれる。美しい音楽をより良い音質で味わうためにヤマハが提供するのが、同社の技術を集大成したハイファイオーディオ「5000シリーズ」だ。

  • ベルトドライブ方式、マニュアル操作の高級アナログターンテーブル「GT-5000」ピアノブラック仕上げ

2019年11月に発売された同シリーズの高級アナログターンテーブル「GT-5000」は、ヤマハターンテーブルの旗艦モデル。20年1月には同社のグランドピアノと同じ黒の鏡面加工を施した“ピアノブラック"モデル「GT-5000」(BP)も発売している。

これらの製品は、音の本質をオーソドックスかつシンプルに、基本に忠実に追求する独自の設計コンセプト「GT思想」に基づいて開発された。ベースとなるキャビネットは横幅546mm×奥行き395mm×厚さ120mm、単体質量14.3キログラムと巨大で、大径プラッターの回転が発する高い慣性モーメント(イナーシャ)を受け止める。キャビネットには、均質さと音の素早い減衰特性を備えた木質系素材を使用している。

駆動はACシンクロナスモーターによるベルトドライブ方式。プラッターは真ちゅう削り出しのインナーターンテーブルとアルミ削り出しのメインターンテーブルを重ね合わせた二重構造をとり、その重量で回転を安定させている。これにより電気的フィードバックを駆動系から排除し、抜けの良い開放的な音を創り出す。加えてトーンアームも外側はカーボンパイプ、内側は銅メッキアルミパイプの二重構造。各素材の持ち味を生かし、高剛性、低共振特性、雑音を防ぐ効果を発揮する。

  • 音楽がもたらす感動を忠実に届けるセパレートアンプ「M-5000」(左)、「C-5000」(右)

また、カートリッジの出力をバランス音声のまま取り出せる「XLRバランス出力端子」を装備している。セパレート構成のアンプ「C-5000」「M-5000」と組み合わせることで、カートリッジからスピーカー出力までの完全バランス伝送を可能にする。

プリアンプのC-5000は、すべてのオーディオ回路をチャンネルごとにワンボード化して背中合わせに配置し、信号経路を最短化する構造を採用している。チャンネル間の音質差や相互干渉を限りなくゼロに近づけることで、録音現場の空気までも感じとれる生々しい音場感が得られる。パワーアンプのM-5000は、同社の特許技術「フローティング&バランス・パワーアンプ」によって電源供給を含む全回路をグラウンドから完全に切り離し、外来雑音の影響も排除する。さらに「パラレルMOS-FET出力段」を装備し、スピーカー駆動力を向上させている。

ローランド 多彩な演出可能に ライブ配信ツール

  • 簡単な操作でスマホからのライブ配信に多彩な演出を加えられる

ローランドは2020年1月、スマートフォン(スマホ)のライブ配信にリアルタイムでテレビ番組のように多彩な演出を加えられるツール「GO:LIVECAST(ゴーライブキャスト)」を発売した。同製品の最大の魅力は、その手軽さ。新型コロナウイルスの感染拡大により自宅で過ごす時間が増え、気軽に動画配信に挑戦してみたいという人々を後押しする。

近年、スマホによる動画のライブ配信を楽しむ人々が増えている。内容はフリー・トークからカラオケ、楽器演奏、メーク方法解説まで幅広く、配信者は多くの視聴者を獲得しようと演出に工夫を凝らしている。一方で、演出に必要な複数の専用機器の接続や準備の手間は、多くの初心者を悩ませている。

これに対し同製品の構成は、本体コントローラーと専用アプリのセットのみ。専用アプリをインストールしたスマホにコントローラーを接続、ボタン操作するだけで、スマホからのライブ配信にテロップやタイトル画面、拍手、笑い声、愉快な効果音、幅広い場面で使えるBGM、静止画、動画サンプルなどを演出として加えられ、簡単にクオリティーを高められる。これらの内蔵サンプルに加え、ユーザーがスマホに保存した動画や写真、音楽なども使用可能。テロップの文字や色も設定でき、好みの雰囲気に演出できる。

また、便利な機能を多数、搭載しており、中でも女性ユーザーにとって画期的なのが「美肌フィルター」。操作一つで、メークしたような画面に映える肌を演出できる。ほかに、2台のスマホを無線接続して映像のアングルを切り替えたり、二つの画面を重ねたりすることもできる。また、視聴者のコメントをアプリの画面上に表示して、配信中にリアルタイムでコミュニケーションを楽しめる。日本最大級のライブ配信サービスで、10~20代のユーザーに人気の「TwitCasting(ツイキャス)」をはじめとするライブ配信サービスに対応しているのも魅力だ。

マイク内蔵のコントローラーは手のひらサイズ。多様な用途のボタンがわかりやすく配置されている。音声のバランス調整や消音、歌や会話のエコー効果のほか、外部マイクの接続による高音質での配信も可能。「LINE IN端子」にはシンセサイザーなどの楽器を接続して演奏を高音質配信できる。

(2020/5/4 05:00)

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