フッ素樹脂の成形・加工

(2020/5/15 05:00)

業界展望台

フッ素樹脂は優れた耐熱性とともに、耐薬品性、電気絶縁性、低摩擦性・非粘着性など、ユニークな特性を有している。チューブ、配管・タンク類のコーティングやライニング、シール材、薬品容器など、他の樹脂ではなかなか代替が難しい、フッ素樹脂”ならでは”の用途で活躍している。

高付加価値生み出す 射出成型ノウハウ不可欠

2019年の原料フッ素樹脂の国内生産量は過去最高の3万1912トンを記録した。国内出荷量は2万9702トン(18年比92.6%)、国内出荷額は870億円(同92.7%)と国内向けは減少したものの、輸出量2万4939トン、輸出額額619億円がいずれも過去最高となり、海外市場は好調を維持している。

  • 原料フッ素樹脂の国内出荷動向

フッ素樹脂は分子構造に非常に強固な炭素-フッ素(C-F)結合を持つため、耐薬品性、耐熱性、電気的特性がきわめて優れている。代表的なフッ素樹脂が四フッ化エチレン樹脂(PTFE)だ。

PTFEの連続最高使用温度は260度C。一方、低温側はマイナス100度Cでも長時間にわたって使用できる。融点は327度Cで、これ以上の温度ではゴム状の弾性体となる。流動性がないため、射出成形はできない。

フッ素樹脂の優れた特性はコーティングやフィルム、チューブだけでなく、厳しい環境で使用される成形品にも生かされている。射出成形は寸法・形状の精度が高く、量産性に優れた技術だが、PTFEは射出成形ができない。

射出成形や押し出し成形など、溶融加工、成形ができるフッ素樹脂としてはテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)やテトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)が用いられている。

フッ素樹脂の射出成形においては、樹脂が溶融した状態は汎用エンジニアリングプラスチックよりも高温で、なおかつ激しい腐食性雰囲気になる。

そのためスクリューなど成形機部品には耐食性に優れたニッケル合金が使用されるが、強度が低いため、荷重や圧力が制限される。高い生産性、複雑形状の一体成型といった射出成形のメリットを十分に生かすには、射出圧力の高圧化が欠かせない。

フッ素樹脂は成形条件と使用機器の選択など、加工業者のノウハウがものをいう難しい樹脂だ。それだけに価値の高い製品向けに採用が広がっている。

(2020/5/15 05:00)

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