社説/地域循環共生圏 脱炭素・自立分散の社会目指せ

(2020/6/16 05:00)

「もはや単なる『気候変動』ではなく、人類やすべての生き物の生存基盤を揺るがす『気候危機』」。2020年版環境白書は初めて「気候危機」という言葉を用いて気象災害や地球温暖化に警鐘を鳴らした。新型コロナウイルスとの共存も想定し、しなやかで強靭(きょうじん)な経済社会づくりを促進すべきだ。

白書は頻発・激甚化する気象災害は温暖化が一因とした上で、コロナ収束後は「従来の経済社会に戻るのではなく、コロナ危機と気候危機の取り組みを両立しなければならない」としている。

その解の一つになりそうなのが、地域資源を最大限活用しながら脱炭素・自立分散型の社会を目指す「地域循環共生圏」。国連の持続可能な開発目標(SDGs)の考え方を踏まえている。代表例が再生可能エネルギーによる町おこしだ。

新電力会社のCHIBAむつざわエナジーは千葉県睦沢町に整備された「むつざわスマートウェルネスタウン」に太陽光発電、ガスコージェネレーションなどを導入。19年房総半島台風で大規模停電が発生した時に、自家発電と電線地中化で重要施設に電力を供給し続けた。

地域循環共生圏の創造には都会のオフィスを離れリゾート地などでテレワークを行うワーケーションが糸口になりそうだ。ユニリーバ・ジャパンは昨年、自治体と連携したワーケーションに着手した。自治体が社員にネット環境が整ったスペースと宿泊場所を提供。さらに社員に関わってほしい地域課題や仕事を提示し、課題解決に貢献した場合は宿泊費を自治体側が負担するというもの。

コロナ対策を契機にテレワークの導入が定着することで、地域循環共生圏にとって追い風になる。自然災害や感染症のリスクを軽減し、地域と都会の資源を相互活用しながら双方の課題解決に資する手段になろう。

ITを駆使し、地方との関係づくりや地方への事業移転などを進め、非常時のバックアップ体制を構築したい。それが地域循環共生圏を強力に後押しし、経済社会の再設計に役立つ。

(2020/6/16 05:00)

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