社説/博士学生への支援 プロの研究者として評価を

(2020/10/19 05:00)

博士後期課程学生の経済支援は長年の課題。学生とはいえ、先端研究をプロレベルで担う研究者であるという理解が進んでいないのではないか。研究者の一端を担う博士学生へ、産学連携を含む競争的資金の一部を回す仕組みの確立を望みたい。

博士号とは、だれも気付いていない重要な仮説を見つけ、それを科学的手法で実証し、社会の豊かさにつなげる力を持つことを示す最高学位だ。博士学生は学費を払って研究指導を受けながら、力を身に付ける途上にあるが、相当の力を持つ。

政府関係者の間で注目される、論文筆頭者(研究の中心人物)の調査分析がこれを裏付ける。筆頭者のうち博士学生は19%を占め、講師・助教クラスの21%、准教授クラスの20%、教授クラスの22%と遜色がない。修士課程までの学生は教育を受ける一方だが、博士学生は学術論文を創出する研究者なのだ。

博士号取得の条件に査読(専門家の審査)論文を求められることが多いため、実は教員以上に論文作成に真剣だともいえる。

政府は2021年度からの第6期科学技術・イノベーション基本計画に向け、博士学生はプロの研究者という側面を重視し、研究活動へ対価を支払う方策の確立に動いている。

文部科学省が21年度予算で概算要求した、博士学生の生活費と学位取得後の研究職ポスト確保を図る大学支援の新事業がその一つだ。大学が外部研究費の間接経費や産学共同研究費の一部を博士学生支援に回す場合に、文科省が3分の2補助をする仕組みで、29億円を計上した。

さらに同様の経済支援を、研究室主宰教員の裁量に委ねる研究費から行うことも視野に入れている。大学の研究が流行テーマばかりにならないようにする注意は、もちろん必要だ。

しかし社会から支持されるアクティブな研究室が経済的に豊かになり、博士学生に生活費を出しながら、真の優れた研究者に育て上げる好循環は、欧米の大学で浸透しているものだ。博士学生はプロの研究者。これを新常識として定着させたい。

(2020/10/19 05:00)

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