モノづくり日本会議、モノづくり力徹底強化検討会 DX時代のモノづくり&サービス

(2020/11/4 05:00)

モノづくり日本会議は9月24日、ウェブセミナー形式でモノづくり力徹底強化検討会「DX時代のモノづくり&サービス(2)」を開いた。製造業を取り巻く環境が激変するニューノーマル社会においては、工場での働き方の変化、サプライチェーンの見直し、激しい需要変動への対応、新たなビジネスチャンス創出といった課題が表面化している。高村啓司NECスマートインダストリー本部上席事業主幹が、これらを解決する方向性や、同社が考えるスマートファクトリーに関して紹介した。

NewNormal社会におけるNECが考えるスマートファクトリーとは

NEC スマートインダストリー本部上席事業主幹 高村啓司氏

長年社内の生産技術開発に携わり、2012年ぐらいからサプライチェーン全体にデジタル技術を適用し、当社工場のスマートファクトリー化を推進してきた。その経験を生かし、製造業の顧客のスマートファクトリー化を支援している。経験や事例も踏まえ当社の考えを紹介する。

今年1月に2030年のスマートファクトリーについての動画を、夢や少々妄想も交えて作った。顧客アンケートの回答を反映しているが、そこに挙げた課題はコロナ禍の現状でも変わらず、むしろ解決が急がれるものだと、実感している。

当社が考えるスマートファクトリーとして目指す姿は、変化、変動に強いフレキシブルなモノづくりができる仕組みをデジタル技術で実現する「生産ラインのデジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル変革)」と、工場でストレスなく人が生き生きとする「働き方のDX」ということだ。

生産ラインと働き方を革新

当社もビジネス環境の変化に対応しながら革新を進めてきた。バブル崩壊後の1990年代には、モノを作ったら売れるという時代は終わり、新興国の生産拡大もあり、国内のモノづくりがなくなってしまうという危機感があった。その中でトヨタ生産方式を学び、工場の効率化、リードタイム短縮を進めた。

2000年代に入ると顧客ニーズが多様化し、グローバル化も進み、サプライチェーン全体に改革を広げた。2010年代には、モノからコトへと顧客価値はさらに変化し、通信インフラの大容量化などデジタル技術の活用が始まった。デジタルデータによってサイバーフィジカルシステムを構築し、デジタル上で管理することを始めた。こうした活動にIoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)といった技術を組み合わせ、次世代のモノづくりを目指している。

今後ニューノーマル社会において、製造業は大きく変化しようとしている。「工場の働き方が変わる」だろうし、「サプライチェーンの見直し」が迫られ、「新たなビジネスチャンス」を逃さないことも必要だ。「デジタル・オア・ダイ」という言葉もあるが、5G(第5世代通信)はじめ新しいデジタル技術を活用しなければ変化に対応できない。

具体的な課題となるのは、工場に行けなかったり“3密”を避けながら作業しなければならなかったりと「工場作業者の働き方が変わる」こと、「サプライチェーンがスムーズにつながらない」こと、「製品需要変動が激しい」ことと、新製品投入の早期立ち上げといった「新たなビジネスチャンス」などが挙げられる。

デジタル技術で変化に対応

こうした中、キーワードとなるのが、デジタルデータを活用して工場内をスマート化する「自律改善」、人と協調するロボットなどを使う「自働化」、自働化技術を使い外部から業務を管理する「リモート」、バリューチェーンを最適化するために複数企業間でデータが「つながる」といったものだ。

スマートファクトリー化に向け、さまざまな技術を検証しているが、その一つとして期待が高まるのがローカル5Gだ。5Gの特性である超高速、超低遅延、多数同時接続を活用して、今までデジタル化できなかった部分のDXを加速する。ロボットの遠隔操作やレイアウトフリーといった工場についてだけでなく、バリューチェーン全体のスマート化が進む。

実証実験として、グループ会社の甲府工場で、ロボットの遠隔操作と制御をリアルタイムで行おうとしている。国内工場に展開し、将来はタイでも導入する。

また、川崎市の当社事業所のデモライン「NEC DXファクトリー」にはモノづくりの未来を実現するさまざまなソリューションを実装している。お客さまとスマートファクトリーをイメージしながら一緒に考える共創の場であり、5Gや自働化の先端技術を検証し、それらの技術を当社工場にも導入してモノづくり革新を進めていくための拠点だ。

顧客からスマートファクトリーを構築したいという声をいただく際、どこを目指せば良いか、とも言われる。考え方としては、あるべき姿、10年後の工場の姿を描きながら、今何をやるべきかをバックキャスト的に考える「グランドデザイン型」と、現場で効果を出しながら積み重ねる「効果確認型」とがある。データを利活用して効果を出しながら、目指す姿への道筋を描くという、二つの考え方を融合した進め方を提案している。

未来の工場像、共に描く

ウェブ参加者とチャットを通じた議論も進んだ。

―ニューノーマル社会の生産現場での課題や、解決策を教えて下さい。

「5月にアンケートしたところ、工場で働けない中でどうモノづくりをしたら良いか、サプライチェーンをどうつなげるか、といった声が多かった。リモートでも働けるようになりつつあるので、サプライチェーンが途切れてもデジタル情報で速やかにつなぎ直す即応体制を整えるべきだ」

―リモート生産は現実的でしょうか。

「現状ではまだ限定的だろう。ただ将来的に見ると、デジタル技術活用も進み、モノづくりの仕組みも変わる。10年後を見据え徐々にリモートを加速しなければならない」

―データ連携は。

「工場や生産子会社、顧客も含めて、生産計画、需給など生産に関わるデータを企業間で共有していくシステムに取り組み始めた。また、現場のIoTシステムを作り込むのは現場の生産技術者、業務系実行システムを作るのは情報システム部門、といったパターンが多く、それらの社内連携も課題だ」

―サプライチェーンとエンジニアリングチェーンの融合とは。

「まだサプライチェーンの一部のスマートファクトリー化を始めたところだが、具体的には生産現場の情報を、エンジニアリングチェーンの上流の商品企画や設計から共有する。品質やコストを設計の上流から作り込めるわけだ。製品出荷後の使われ方や操作方法などもデジタルデータ化すれば、次の製品の設計最適化ができる」

―こうしたビジネスでのNECの強みは。

「当社はAIや生体認証といった新しいデジタル技術もあり、IT企業としてのIT構築力もある。しかし、一番のポイントは製造業として変化に対応しながらモノづくり革新を進めてきたノウハウがあることと、自らの工場で効果を創出してきた仕組みをソリューション化していることだ」

「IoTのシステムを企業が導入するのにはやはり資金が必要だ。そもそもデータを取っていないところも多いので、まず今持っている始業前点検の紙データからでも良いから、一緒に見てみたい。そこでわかった課題に仮説を立て、小さなところから始める。目指すべき工場につながる道筋を、共に考えさせてもらいたい」

(2020/11/4 05:00)

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