産業春秋/『第九』の力

(2020/11/16 05:00)

年末恒例のベートーベン交響曲第九番(第九)の演奏会が、コロナ禍で相次ぎ中止に追い込まれている。12月に生誕250年を迎えるだけにコロナが恨めしい。

第九を聴かないと新年を迎える気分になれない。そんな読者に朗報がある。東京交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団などは、合唱団をアマチュアからプロに切り替えて開催にこぎ着けた。

日本フィル事務局によると、プロへの切り替えは3密回避が理由という。プロなら発声法を確立しているためリハーサルの回数が少なくて済む。声の通りも良いことから、合唱団の規模を縮小し、飛まつの発生を抑えられるそうだ。

ベートーベンの人生も感染症とともにあった。少年時代は天然痘にかかり、母と最愛の弟を結核で亡くしている。自分も結核を患っているのでは、と終生死の恐怖から解放されることはなかったといわれる。

第九が年末の風物詩になっているのは日本だけらしい。長い忍耐の時を経て『歓喜の歌』が放つ高揚感が、日本人の気質に合っているのか。失意の中でも希望の灯をともし続けたベートーベンのたくましさにあやかりたい。今年の第九はひときわ心に染みる。

(2020/11/16 05:00)

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