社説/エアアジア・ジャパン破綻 空路の維持へ一層の支援を

(2020/11/19 05:00)

新型コロナウイルス感染症は航空会社の経営を直撃している。空のネットワークを維持へ、政府に航空燃料税の減免措置など既存の支援策パッケージ以上の踏み込んだ施策を求めたい。

17日にエアアジア・ジャパンが東京地方裁判所に破産手続き開始を申し立てた。負債額は約217億円。12月5日で全路線の廃止を国土交通省に届け出ているが、航空券を購入済みの2万3000人以上の顧客に返金できない状態に陥っている。

航空会社の支援へ国は着陸料の引き下げや国税・地方税などの支払い猶予、雇用調整助成金の拡充、日本政策投資銀行による融資などの対応策を実施。さらに操縦士の資格維持の要件緩和や、客室を使った貨物運送など柔軟な対応を取っている。GoToトラベルによる観光需要の喚起も進める。

それでも日本航空やANAホールディングスは大幅な赤字決算となり、余剰人員を異業種に一時的に受け入れてもらっている。新規採用も大幅に減らす。

航空業界はリーマン・ショック時、日航が経営破たんに追い込まれ、全日空も大幅なコスト削減を行った。そのため、需要回復後に人材のやりくりに苦慮した苦い経験がある。

コロナ禍の収束は見通せず、足元の感染拡大でさらなる需要減も懸念される。各社は人員削減や機体の売却などのコスト削減、新規事業開拓を進めるが、経営努力だけでは限界がある。

韓国では政府主導で、首位の大韓航空が2位のアシアナ航空を買収する再編が進む。世界的な合従連衡が再び起きても不思議はない。

ここ数年、国内でも格安航空会社(LCC)は身近な空の足として定着したが、地方空港の発着が多く大手と比べ着陸料引き下げなどの効果も少ない。すべての航空会社の直接的な支援につながる航空燃料税や着陸料、駐機料、航行援助施設利用料などの減免、支払い猶予などを早急に拡充すべきだ。公益性に加え、いったん縮小すると、すぐに需要増に対応できないという航空会社の特殊性を考慮する必要がある。

(2020/11/19 05:00)

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