産業春秋／ドコモの値下げ

キャベツは１玉９８円、白菜も半玉で９８円―。スーパーに並ぶ野菜が本当に安くなった。好天続きで生育が順調だったようで、卸売市場の相場は、過去５年間で最安値という。

春先には１玉３９８円もの高値で、しぶしぶ半玉だけ購入していたキャベツを大喜びで１玉買い、ずっしりと重くなったマイバッグを抱えて持ち帰る。サラダからおひたし、みそ汁と使い道が多彩な万能野菜を堪能できた。

携帯電話市場にも安値の大波が到来しそうだ。ＮＴＴドコモがデータ容量２０ギガバイトで月額２９８０円という新料金プランを発表した。自身が使うスマホの料金と比べても明らかに安い。ＫＤＤＩやソフトバンクが追随するのは必至だ。

値下げの背景に政府の強い意向があるのは明らか。言われる前になぜやらなかったのかとは思うが、ドコモが他社に奪われた顧客を、本気で取り戻しにきた戦略料金であり、寡占状態にある市場に新たな競争が起こることは歓迎したい。

心配は新規参入した楽天や他社回線で低価格サービスを提供する事業者が弾き飛ばされないか。キャベツの値段が今後の天候で上昇するのは仕方ないが、携帯市場が再び一部の事業者に独占されるのは許されない。