社説/追加経済対策 政策の優先順位を明確にせよ

(2020/12/9 05:00)

新型コロナウイルス感染症への対応を最優先に、産業構造の転換加速など、意味のある施策に重点化すべきだ。

政府は8日の臨時閣議で、追加経済対策を決定した。財政支出40兆円、事業規模が73・6兆円という大型対策である。

菅義偉首相は「国民の暮らしと命を守り、雇用維持と事業の継続で経済を回復させ新たな成長の突破口を切り開く」と説明した。

まず最優先で取り組むべきは、コロナ感染拡大の阻止である。追加対策ではコロナ対策関連として約6兆円が措置された。病床確保と医療人材の拡充へ十分な支援が必要だ。医療崩壊の危機にある地域で対策が迅速に行えるよう、メリハリのある交付を実施すべきだ。

今回の目玉政策は、デジタル化や脱炭素など、菅政権が掲げる成長戦略を踏まえた経済構造の大転換への対応にある。51・7兆円が投じられる。

主な施策は、業態転換や新規分野に参入する中小企業に対して、事業再構築補助金を最大1億円助成、脱炭素対策として企業が行う研究開発を長期で支援するために、2兆円の基金を創設する―など。

産業構造の転換に、思い切った額を措置するのは評価できる。ただ、これらの取り組みは経済対策の即効性には欠ける。目指すべき方向を明確にし、それに沿った事業転換や開発に資するものに支援を重点化する目利き力が重要になる。

観光・外食産業支援策として「GoToキャンペーン」事業の延長も決めた。収入の急減に苦しむ関連産業にとって必要な施策であるのは理解できるが、実施する地域や時期はコロナ感染状況を踏まえ、臨機応変に見直してもらいたい。

国土強靱(きょうじん)化にも5・9兆円が投じられる。緊急に必要な施策を精査する必要がある。

一連の施策で国や自治体の財政支出は大きく膨らむ。コロナ禍を乗り越えるためにやむを得ない面もあるが、これらはすべて次の世代の負担になることを念頭に、歳出削減にも大胆に取り組まなければならない。

(2020/12/9 05:00)

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