社説/コロナ禍で在宅増加 高齢者も使えるロボット開発を

(2020/12/10 05:00)

重症化リスクの高い高齢者を守る手段の一つとして、コミュニケーションロボットの開発を進めたい。

新型コロナウイルスの感染第3波により、多くの高齢者が自宅に引きこもる生活を強いられている。心配なのが、運動不足による筋力低下。自宅内で転倒し、そのまま寝たきりとなるリスクも増大する。また、外部との関わりがなくなることで認知症が進行する事例も見られる。

こうした状況を放置すれば、コロナ感染が収束した後に、高齢者の身体機能が低下し、ひいては医療や介護関連費用の増大につながる事態ともなる。

高齢者の利用を想定したロボットやITツールは、すでにいくつかの企業で開発されている。GROOVE X(東京都中央区)やユカイ工学(同新宿区)などは、家庭での利用を想定したコミュニケーション型のサービスロボットを発売している。ロボットとのふれあいや会話を通じて、高齢者が心の安らぎを得、認知症を予防する効果を期待する。

コミュニケーションロボットには、この他にも見守り機能により、遠隔地にいる家族が高齢者の異変を検知できるものや、決まった時間に薬の服用を促すものなど、さまざまなものが開発されている。

サイバーダインは自宅でリハビリ訓練ができるロボットの貸し出しを始めた。腰や膝などの動きを支援する装着型ロボットを利用し、自宅で機能回復や身体機能の低下予防を図る。

産業用ロボットと違い、サービスロボットの利用者はIT操作が苦手な高齢者だ。機能が優れていても、スマートフォンやパソコンのような複雑な操作では使いこなせない。

テレビや照明器具と同じように、スイッチ一つですぐに使える簡便性が必要だ。人工知能(AI)や遠隔操作などの先進技術を駆使することで、簡易でありながら高い性能を発揮することを目指してもらいたい。費用の低減も普及には重要だ。

高齢者が使えるロボットの普及は、長い目で見て明日の日本の活力にもなる。

(2020/12/10 05:00)

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