社説/短観改善も先行きに不安 生産性向上へ官民で取り組みを

(2020/12/15 05:00)

景況感に明るさは見られるものの、新型コロナウイルス感染症の再拡大で、景気の腰折れ懸念は急速に高まっている。

日銀が14日に発表した12月の企業短期経済観測調査(短観)によると、大企業製造業の業況判断DIは17ポイント改善した。自動車が国内外の需要回復で48ポイントと大幅改善し、関連して鉄鋼、非鉄金属も改善した。米中向け輸出が好調な電気機械、生産用機械も伸びた。大企業非製造業DIも7ポイント改善。GoToキャンペーン効果が貢献した。

大企業製造業・非製造業とも景況感は2期連続で改善したが、DIは依然としてマイナス圏にある。新規感染者の再拡大が先行きの不透明さを助長しており、大きなリスク要因として企業にのしかかっている。

また、2020年度の設備投資計画は全規模・全産業で前年度比3・9%減と前回10月の調査から下方修正された。例年12月は計画を上方修正する傾向にあるが、今回は大企業製造業が下方修正し、中小企業の改善幅は小幅だった。世界経済の回復が見通せない中、投資に慎重な姿勢がより強まった。

新卒採用計画も、全企業規模合計で6・1%減と前回6月の調査から悪化した。

景況感の先行きは、製造業は全規模ともほぼ横ばい圏だが、非製造業は中小企業で悪化幅が拡大すると予想する。

政府はこのほど第3次補正予算を伴う追加経済対策の実施を決めた。医療支援などの感染拡大防止策に加え、中小企業の業態転換に対する補助金、研究開発へのファンド創設、実質無利子・無担保融資の延長が含まれる。与党の税制改正大綱では企業のデジタル投資促進への減税措置を導入するなど、企業を支援する姿勢を強めている。

コロナ感染収束の見通しが立たない現状で、企業は投資や雇用に慎重になっている。しかし、政府の支援策も活用し、各種投資に力を入れ、生産性向上に努めてほしい。当面、収益環境の厳しさは続くが、現状を打開するには、自ら変革を起こすしかない。それが本格的な景気回復時の成長に直結する。

(2020/12/15 05:00)

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