社説/日中の成熟した関係 欧米と歩調を合わせた行動を

(2021/1/19 05:00)

新型コロナウイルスの感染再拡大は欧米諸国の経済を悪化させただけでなく、国際協調の足かせにもなっている。これとは対照的に、いち早くコロナ禍を脱した中国は2020年の国内総生産(GDP)が実質で前年比2・3%増と経済を回復軌道に乗せつつある。さらに途上国へのワクチン供与など、外交や政治面でも影響力を強めている。

今月6日、香港の民主活動家の議員ら約50人が当局に一斉に逮捕された。同じ頃、米国ではワシントンの連邦議事堂にトランプ大統領の支持者が乱入する事件が発生。英国ではコロナ変異種の感染拡大が深刻化し、対応に追われていた。

西側のリーダーが思うように動けない状況下で、中国が思い切った行動に出たという分析がある。経済の面では柔軟でも、自国の政治体制についてはかたくなな中国の姿勢はコロナでも変わっていない。

米国のバイデン大統領の誕生で、トランプ時代の米中対立が緩和されるとの楽観的な見方が一部にある。ただ人権重視外交を掲げるバイデン次期政権にとって、米中対立の解消は経済問題だけでは語れない。

対中経済関係を重視し、米国の強硬姿勢と一線を置いていたドイツや豪州も、ここに来て中国の民主主義弾圧に明確な反対姿勢を示している。ドイツや英国は岸信夫防衛相とのテレビ会談で、日米両国が掲げる“自由で開かれたインド太平洋”構想への支持を表明した。

人権や国際法を重んじる欧米先進国と、独自路線を強める中国との関係が、果たして冷却化やデカップリング(分離)に向かうかどうか。日本の産業界としても慎重に見極める必要があるだろう。米欧には中国企業との共同研究や買収、技術移転に強い警戒感があることも十分に知っておきたい。

中国の成長をアジアの繁栄につなげつつ、中国政府が人権や法制度について国際常識を受け入れるようけん制していくことが日本のとるべき道であろう。安易な経済への傾斜を戒め、欧米諸国と歩調を合わせて成熟した関係を結びたい。

(2021/1/19 05:00)

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