社説/日立金属の検査不正問題 トップは誤り正す勇気を持て

(2021/2/5 05:00)

不適切であると認識しながら、なぜ是正できなかったのか。他社で相次いだ同様の事案に学べず、事実を隠した元経営陣の責任は重い。残る調査・検証をし尽くし、真に実効性ある再発防止のため出直すべきだ。

日立金属の特殊鋼・磁性材を巡る検査不正問題。公表された調査報告書によると、不正に及んだのは35生産拠点で顧客は1747社に上る。受注獲得や納入期限へのプレッシャーがあったにせよ、高級鋼「ヤスキハガネ」で知られる同社のコンプライアンス(法令順守)意識がここまで希薄だったとは驚かされる。西山光秋会長兼社長は電話会見で、1980年代からあったとし「他社の事例がある中、不正を止められなかったのは誠に遺憾」と陳謝した。

責任をとって退任した佐藤光司前社長、平木明敏元社長らは不正にかかわり「社会や顧客、自社への影響を危惧」し隠蔽(いんぺい)した。旧日立化成や神戸製鋼所などによる品質・データ偽装が社会問題化する中、部下から修正を持ちかけられても結果的に阻止した。

親会社の日立製作所への不正報告の際には、航空機、エネルギー関連製品の一部が対象から外された。これまでの調査で安全・性能上の問題は確認されていない。ただ調査・検証はわずかに残っており、決して胸をなで下ろすわけにはいかない。

不正を生んだ背景には、製品への高い信頼から来る驕(おご)り、極度の収益重視の指示があったのか。西山会長兼社長は「長年にわたる問題。要因の特定は非常に難しい」とした。顧客との契約内容や要求レベルは分からないが、ひとたび約束すれば正しく履行するのが企業の使命である。

同社は再発防止へ品質保証部門の独立性を確保し、約100億円をかけ人の関与をなくすシステムを導入する。ただシステムを運用するのは人間。日立金属を巡っては、日立製作所が売却交渉を進めているが、結果がどうであれ、法令順守は企業価値うんぬん以前の問題だ。顧客に向き合い、事を誤ったら是正する勇気を持ってほしい。

(2021/2/5 05:00)

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