産業春秋/危機に立つサケ放流

(2021/3/9 05:00)

サケの放流事業が危機的な状況にある。木戸川漁業協同組合(福島県楢葉町)は、16日から約29万匹の稚魚を木戸川に放つが、東日本大震災前は毎年1000万匹を超えていた。

太平洋側の資源量は今も減少に歯止めがかからない。津波や地震で多くのふ化場が被災。放流はしばらく中断を余儀なくされた。福島県内は原発事故の影響も重なり、いまだに放流が再開できない地域もある。

富岡川漁業協同組合(同富岡町)は稚魚が調達できず、今年は放流を断念した。秋には津波で被災したふ化場が稼働する。来春から放流を再開するが、富岡川に遡(そ)上するサケの採卵を当てにはできない。

背景には温暖化の影響がありそうだ。水産資源研究所でふ化の技術指導にあたる小松信治さんは「親潮の勢いが弱いためでは」とみる。北上する黒潮の勢いが強く、春の海水温が高い状態は、稚魚の生育に適さない。

食品加工などの地場産業にとって「主力魚」の不漁は痛手だ。遠方からの仕入れが増え、利幅が縮小している中小企業もある。被災地にとって、10年は復興への一里塚にすぎない。楢葉や富岡のサケ放流事業もその一つだろう。清流に銀鱗(りん)の群れが躍る光景をよみがえらせたい。

(2021/3/9 05:00)

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