社説/事業再構築補助金スタート コロナ後の成長を見据えよう

(2021/4/13 05:00)

事業転換や新分野への参入を目指す中小企業にとって意義のある支援策が始まる。コロナ禍を乗り切り、コロナ後の社会を見据えた成長戦略を考える契機としたい。

経済産業省は「事業再構築補助金」の申請受け付けを15日に始める。同補助金は、コロナ禍で売上高が減少し、厳しい経営状況にある中小企業、中堅企業、個人事業主が“思い切った”事業再構築に取り組むのを支援することを目的に創設された。

2020年度第3次補正予算で措置された予算額は、1兆1485億円という破格の規模。1社当たりの補助額も中小企業の通常枠で最大6000万円(補助率は3分の2)、中小企業から中堅企業に成長する卒業枠なら同1億円(同)、中堅企業で世界市場に展開するグローバルV字回復枠の場合も同1億円(補助率は2分の1)などと、既存の補助事業と比べ支援額は大幅に増額されている。

さらに緊急事態宣言で時短営業などで影響を受けた企業を対象にした、緊急事態宣言特別枠は、補助率が4分の3に上がる手厚い支援策もある。

獲得できれば企業にとって大きな助けとなろう。ただ、応募は相当数に上ることが予想される。事前に申請に必要な事項をしっかりと把握し、準備を進めたい。

今回の申請の条件には、審査で最も重要な項目となる事業再構築の具体的な内容を記した「事業計画」の作成を、中小企業を支援する機関(認定支援機関)と共に策定すること、さらに補助額が3000万円超の案件は、金融機関の参加も求めている。専門家の助言や金融機関の支援や融資により、事業の実現可能性が高く、着実に実行される体制が整っていることを示せ、ということだ。

自社の持つ強み、弱みをしっかりと見つめ直し、どこに成長の可能性があるかを冷静に判断するのは経営者の役割だ。

初回の採択結果は6月にも公表される。経産省は年度内に4回程度の募集を予定している。支援策を上手に活用し、事業変革へ挑戦してほしい。

(2021/4/13 05:00)

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