産業春秋/新型のアナログ式計算機

(2021/5/11 05:00)

太陽の日周運動を利用して時刻を測る日時計は、最古のアナログコンピューターといわれる。紀元前3000年ごろには既に使われており、旧約聖書にも「見よ。わたしは、アハズの日時計におりた時計の影を、10度後に戻す」とある。

10年前の5月11日、カナダのDウエーブ・システムズが世界初の商用量子計算機を発表した。量子アニーリングで組み合わせ最適化問題の一つである「スピングラス問題」を解くこのコンピューターもアナログ式だ。

夢の量子計算機を実現したインパクトは絶大で、米グーグルや米航空宇宙局(NASA)などが相次ぎ導入した。現在の計算機はすべてデジタル式だが、Dウエーブは歴史あるアナログ式に目をつけた。

日時計が太陽光の入射角しか測れないように、量子アニーリングマシンもスピングラス問題しか解けない。それが弱みでもあるが、逆に言えば、この問題に置き換えられればどんな問題でも解ける。

ちなみに計算尺はアナログ、そろばんはデジタルだ。新型マシンの量子ビット数は5000個と従来の2・5倍に増強された。デジタルだからハイテクとは限らない。物理量をそのまま測るアナログ式計算機は今なお革新を続ける。

(2021/5/11 05:00)

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