産業春秋/小水力発電の巻き返し

(2021/6/4 05:00)

埼玉県内初の本格的な小水力発電「秩父寺沢川発電所」が稼働した。秩父市は高齢化と人口減少が進む。発電所を運営する陽野ふるさと電力取締役の江田治雄さんは売電収入で「里山整備など魅力ある地域づくりを」と意気込む。

寺沢川は小水力発電の好条件に恵まれ、49・9キロワットの出力がある。上流の取水口から下流の発電所までの距離は750メートル。水は導水管を伝わり86メートルの落差を一気に流れ落ちる。途中に岩盤層や堰堤(えんてい)があり導水管の敷設は難工事だった。

新型コロナウイルスの感染拡大がさらに関係者を悩ませる。東欧スロベニアから調達した水車は、成田国際空港に到着したものの、制御盤の設置や調整にあたる技師が来日できない。

やむなくスロベニアからの遠隔操作により、当初の予定から2カ月遅れて稼働にこぎ着けた。発電機は国産だが、水車は安価で豊富な実績がある東欧製を採用した。

日本は「大電力へ移行したため、小水力向け水車の技能や技術は廃れてしまった」(電設業界関係者)との指摘も。国が推進する再生可能エネルギーの主力電源化を呼び水に、小水力発電でもモノづくりを活性化できないか。特に中堅・中小メーカーの参画を期待したい。

(2021/6/4 05:00)

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