産業春秋/火星衛星探査

(2021/8/23 05:00)

野心的なプロジェクトが進行中だ。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の火星衛星探査計画「MMX」。火星の月の一つ、フォボスに着陸して10グラム以上の試料を持ち帰る。「はやぶさ」シリーズと同じ地球往還だが、難度は高い。

計画の目的として、火星生命の痕跡調査が加わった。火星に衝突した隕石(いんせき)が巻き上げた塵(ちり)は、わずかにフォボスに積もる。「採取する試料から、30粒程度と見られる火星の粒子をより分けて調べる」というから科学者とは貪欲だ。

米国は大がかりな装置を開発し、火星表面からのサンプルリターンを目指している。小型軽量のMMXはすでに詳細設計段階で、より早く実現する見込み。火星にかつて生物がいた決定的な証拠を、先に発見できるかも。

宇宙開発に限らず、スポーツなど多くの分野で日本が世界トップに立つことが増えてきた。社会が豊かになり、人材と資金のすそ野が広がったことを感じる。財政が厳しくとも、こういうものは大事にしたい。

MMX実現には多くの新技術が必要だ。日本には火星探査の成功例はないし、H3ロケットの開発は遅れ気味。打ち上げ予定の2024年までに、着実に関門を突破していってほしい。

(2021/8/23 05:00)

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