社説/概算要求111兆円に 成長分野見極め、重点配分を

(2021/9/2 05:00)

国の2022年度予算概算要求の総額が111兆円規模と、4年連続で過去最大を更新した。日本の財政が膨張し続けている。予算編成はメリハリをつけ、喫緊の課題である新型コロナウイルス感染症対応と、アフターコロナを見据えた成長分野に重点配分すべきだ。

高齢化の進展に伴い年金や医療、介護などの社会保障費が増加。要求額が最も多い厚生労働省の概算要求は33兆9450億円と過去最大になっている。政府はこれまで社会保障制度改革に取り組んできたが、社会保障費は今後も増え続ける見通しで、さらに踏み込んだ抜本的な改革が早急に必要となる。

20年度は新型コロナ感染症対策のため、3度にわたって大型の補正予算を編成した。新規の国債の発行額は100兆円を超えた。国債の発行残高が増えたため、国債の利払いや償還などに充てる国債費の概算要求は30兆2362億円と過去最大を更新した。

一方で、20年度予算で未執行の30兆円超を21年度に繰り越すなど、予算の執行のあり方が問われている。

今回の概算要求では、菅義偉政権が推進するグリーン、デジタル、地方活性化、子ども・子育ての4分野に優先して予算配分する特別枠「新たな成長推進枠」を創設した。アフターコロナの成長戦略として、方向性はいいが、真に必要な施策であるかは精査が必要だ。成長分野に予算を重点配分し、メリハリを明確にすべきだ。

新型コロナ感染症対策では金額を示さない「事項要求」が多く、年末の予算編成に向け、予算額はさらに膨張する可能性がある。

総選挙を控え、与党内に大規模な経済対策を望む声が高まっている。21年度補正予算編成を含め、新型コロナ対策を中心に追加の財政出動は避けられない状況にある。

コロナ禍のいまだからこそ、経済再生と財政健全化の両立を目指してほしい。次世代に残すべきは、経済成長という財産である。負の遺産を残してはいけない。

(2021/9/2 05:00)

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