社説/改正銀行法施行 地銀は地方創生に役割果たせ

(2021/11/24 05:00)

改正銀行法が22日に施行された。限定的ながら業務範囲の規制が緩和され、体力で劣る地方銀行にとっては経営基盤の強化につながると期待される。経営統合などの再編とは別の選択肢を有効活用し、コロナ禍後の地方創生に弾みを付けたい。

銀行は自行で開発したITシステムやアプリケーション(応用ソフト)の外部販売、企業の経営支援を目的とした人材派遣、データ分析などに業務範囲を拡大できる。地域活性化に資する企業への全額出資も可能になった。

銀行、中でも地銀は地域活性化にこれまで以上に深く入り込む努力が求められる。保有する人材や技術を活用し、地域経済のデジタル変革(DX)を促す効果などを期待したい。本業の金融仲介機能も、収益基盤を強化しつつ、担保依存の融資から中小企業の事業性などを評価した融資へと軸足を移すことが求められる。

地銀の足元の業績は好調だ。地銀・グループ77社の2021年4―9月期決算は68社が当期増益だった。貸し倒れに備えて積み立てておく与信関係費用が減少したことが奏功した。政府・自治体の資金繰り支援により企業倒産が大幅に減り、東京商工リサーチによると4―9月は55年ぶりに3000件を割って低水準で推移した。

だが地銀が抱える構造問題は、コロナ禍の前後で大して変わっていない。地域経済は人口減を主因に都心より疲弊しており、低成長により資金需要は減少傾向、つれて貸出金利も恒常的に低下している。業務範囲の拡大で経営基盤をどこまで強化できるかも不透明感が残る。

政府は地銀の合併・再編を促すため、同一県内の地銀合併を認める独占禁止法特例法を20年11月に施行し、今年5月には改正金融機能強化法も成立させ、合併・再編に伴うシステム統合・店舗統廃合などの費用の一部に交付金が支給される。

業務範囲の拡大に合併・再編と、地銀の選択肢はそろった。地銀は持続可能なビジネスモデルを早期に築き、地方創生の役割を担ってもらいたい。

(2021/11/24 05:00)

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