社説/頭打ちのテレワーク 雑談の場づくりで定着促そう

(2022/1/19 05:00)

政府は新型コロナウイルス・オミクロン株の感染拡大に対応し、21日から「まん延防止等重点措置」の適用地域を拡大する。企業はテレワーク中も社員間の情報共有に工夫をこらし、実施率を高める一助としたい。

テレワークによる交流は業務連絡など仕事の情報に偏りがちで、趣味や嗜好など人間関係を紡ぐ私的な情報は希薄になりやすい。社員が孤独感を抱くようになると仕事の効率や意欲が低下するとの調査結果もある。

リモート時代の意思疎通のノウハウを確立できるかが、ウィズコロナを乗り切るカギといえる。だが日本の職場は社員が協力し合いながら一つの仕事を進めていくのが主流。このため感染が落ち着くと出社勤務に戻す企業は少なくない。

東京都の調査によると、2021年12月の都内企業のテレワーク実施率は約56%(前月比0・8ポイント減)。12月は新規感染者数が低水準で推移したこともあるが、21年5月の約65%をピークに頭打ちの状況が続く。

インターネット上のリスク対策などを支援するアディッシュ(東京都品川区)は、仕事以外の関心事をテーマに社員が関係をつくれる場を提供している。オンラインによるランチ会もその一つ。21年6月、外出自粛が長引けば会話の機会が少なくなるとの危機感から開始し、2―3カ月に1回実施している。

オンラインランチ会は運営チームが決めたテーマに基づき、食事をしながら語り合う。テーマは「ゲーム」の時もある。「普段あまり関わりのない社員と好きなゲームの話ができて楽しい」など社員に好評という。

業務の円滑化にも一役買っている。共通の関心事でつながりができると、所属する部署が異なっていても、連携が必要な時に頼み事がしやすくなる。活動を継続させるこつは、参加は任意とし、ルールを緩やかにしていることにあるという。

コロナ対策はオミクロン株の感染拡大でさらなる長期戦が予想される。今後の新興感染症や自然災害に備えるためにも、テレワークの定着を図り、企業体質を強化しておきたい。

(2022/1/19 05:00)

総合2のニュース一覧

おすすめコンテンツ

電験三種 合格への厳選100問 第3版

電験三種 合格への厳選100問 第3版

シッカリ学べる!3DAモデルを使った「機械製図」の指示・活用方法

シッカリ学べる!3DAモデルを使った「機械製図」の指示・活用方法

技術士第一次試験「建設部門」受験必修キーワード700 第9版

技術士第一次試験「建設部門」受験必修キーワード700 第9版

モノづくり現場1年生の生産管理はじめてガイド

モノづくり現場1年生の生産管理はじめてガイド

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

Journagram→ Journagramとは

ご存知ですか?記事のご利用について

カレンダーから探す

閲覧ランキング
  • 今日
  • 今週

ソーシャルメディア

電子版からのお知らせ

日刊工業新聞社トピックス

セミナースケジュール

イベントスケジュール

もっと見る

PR

おすすめの本・雑誌・DVD

ニュースイッチ

企業リリース Powered by PR TIMES

大規模自然災害時の臨時ID発行はこちら

日刊工業新聞社関連サイト・サービス

マイクリップ機能は会員限定サービスです。

有料購読会員は最大300件の記事を保存することができます。

ログイン