産業春秋／英国議会の狭さ

英国議会下院は、議場の狭さと緑色の長椅子に議員がぎゅうぎゅう詰めで座るスタイルで知られる。コロナ禍で一時はオンラインになったが、現在は通常開催に戻っている、

議場にはマイクが多数配置され、議員は質問したい時は起立し、議長が指名すればその場で質問を始める。先日、その下院でほぼ全員の議員が起立して発言を求めるほどの白熱した議論が繰り広げられた。

ロックダウン中に首相官邸で複数回開催されたパーティーに関する政府報告書が提出された直後の審議。矢面に立たされたボリス・ジョンソン首相に、野党のみならず与党からも厳しい質問が飛んだ。

国民に不自由を強いながら、自身は違反していた恐れが大きく、批判が集まるのは当然だ。ジョンソン首相はウクライナ情勢でかわそうとするものの、議員の追求はやまない。丁々発止のやりとりは議場の狭さも相まって過熱する一方。

日本の深夜にそんな場面を衛星放送で見た後に、国会中継を見ると何とも“まどろっこしい”。事前通告された質問に、官僚が用意した答弁書を読み上げる大臣ら。英議会も決してほめられた審議内容ではないが、見ている国民に議員の生の声が届いているのは確かだ。